ホデゲトリア型(読み)ほでげとりあがた

世界大百科事典(旧版)内のホデゲトリア型の言及

【聖母子】より

…主要なものとしては,ニコポイアNikopoia型すなわち聖母,幼児ともに正面向きで聖母が両手に幼児を抱く型(イスタンブールのハギア・ソフィア南階土間のモザイク,1118ころ,など),ホデゲトリアHodēgetria型,すなわち左腕に幼児を抱く聖母,あるいはより情愛に満ちたグリュコフィルサGlykophilousa型,すなわち聖母にほおをすり寄せる幼児(《ウラジーミルの聖母》モスクワのトレチヤコフ美術館,12世紀,など)等が挙げられる。これら東方の原型は西ヨーロッパに導入され,ロマネスク期には木彫の礼拝座像の《上智の座》として表され,ゴシック期にはホデゲトリア型の伝統を継ぐ優美な聖母立像が多くの教会堂を飾った(パリのノートル・ダム大聖堂北袖廊正面,1250ころ,など)。中世末,イタリアのシエナを中心に新たな興隆が生じ,《荘厳像(マエスタMaesta)》などモニュメンタルな表現(ジョット作,フィレンツェのウフィツィ美術館,1310ころ,など)の一方,《授乳の聖母》《謙遜の聖母》などの,より人間的情感的な母子表現がしだいに優勢となった(アンブロージョ・ロレンツェッティ作,シエナのサン・フランチェスコ教会,1330ころ,など)。…

【マリア】より

…語源はヘブライ語miryāmまたはアラム語のmaryāmで,〈ふとった女〉(すなわち〈美女〉)の意とされる。旧約聖書にはモーセとアロンの姉妹の名として出てくるし(《出エジプト記》15:20),新約聖書でもマリアの名をもつ人物はマグダラのマリア以下何人もいるが,一般にマリアといえばイエス・キリストの母,いわゆる聖母を指す。東方では4世紀以降,とくに431年のエフェソス公会議以降テオトコス(〈神を生んだ者〉の意)と呼ばれることが多く,他にパナギアPanagia(〈至聖なる女〉の意),メテル・テウMētēr Theou(〈神の母〉の意。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」