日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ホッパー(Edward Hopper)
ほっぱー
Edward Hopper
(1882―1967)
アメリカの画家。ニューヨーク州ナイアック出身。コマーシャルの仕事から出発し、ヘンライ、ミラーに学んだのち、ニュー・イングランドやニューヨークの孤愁に満ちた生活と環境を描いて知られるようになった。1920年代にはバーチフィールドと並ぶ優れたアメリカン・シーン画家と目されたが、いわゆるアメリカン・シーンやヘンライ派の写実とは違った、屈折した人間状況を描き続けた。朝の陽光が差し込むモーテルの室内、大空を背景に浮かび上がる廃屋、映画館の一隅にたたずむ女性などはホッパー独特のイメージで、ヨーロッパ・モダニズムとはかかわりのない特異な写実様式を一貫して守り通した。
[桑原住雄]