日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホットスポット(地学)」の意味・わかりやすい解説
ホットスポット(地学)
ほっとすぽっと
hot spot
広い海盆の中にあって、マントルの奥深くからのマグマの熱流がちょうど大気中の竜巻のようにクラストを通って噴出している所。海洋地球物理学の用語。ハワイ島はホットスポットの上にできた火山島の典型である。1960年代から1970年代にかけて、アメリカのウィルソンやモルガンによって提唱された。この仮説の重要な点はプレートテクトニクス理論において、ホットスポットがマントル深部に固定した座標系を与え、プレート(板状岩石圏)の絶対運動を決めることにある。この説によれば、ハワイ諸島や大西洋のワルビス海嶺(かいれい)のように地震活動のない海嶺は、マントル深部に起源をもつマグマの上を海洋底拡大によるプレートが運動したためできた火山群である。これはハワイ諸島から天皇海山群に至る一連の海山群の年代配列でほぼ認められている。ホットスポットは世界で140か所もあるとする学者もあり、海洋底プレートの絶対運動の規準を与える可能性の一つとして注目を集めている。
なお、これと似た現象に海底の熱水鉱床があるが、これは大洋の中央海嶺などで海底の割れ目にしみ込んだ海水が海底近くの熱源で熱せられ噴き出してできたもので、ホットスポットとはその存在する場所、成因が異なる。
[半澤正男]