ホタルルシフェリン

化学辞典 第2版 「ホタルルシフェリン」の解説

ホタルルシフェリン
ホタルルシフェリン
firefly luciferin

L-4,5-dihydro-2-(6-hydroxy-2-benzothiazolyl)-4-thiazolcarboxylic acid.C11H8N2O3S2(280.32).生物発光発光素であるルシフェリンのうち,ホタル(Photinus)に存在するもの.淡黄色の針状晶.分解点189.5~190 ℃.-35°(DMF).アセトン,メタノール,DMF,DMSO酢酸エチル,アルカリ水に可溶.水に微溶(pH 6.5).酵素ルシフェラーゼ,Mg2+ATPの存在下にルシフェリルアデニル酸が生成し,それが酸素分子との反応で光を発生し,AMP,CO2を放出してオキシルシフェリンになる.この反応はATPの微量分析(10-11 mol L-1 以下)に用いられる.

 ルシフェリン + ATP

ルシフェリルアデニル酸 + PPi 

 ルシフェリルアデニル酸 + O2

オキシルシフェリン + AMP + CO2 + 光 

[CAS 2591-17-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のホタルルシフェリンの言及

【生物発光】より

…この発光はある光線が照射されている間だけ光るリン光や蛍光と区別され,熱に安定なルシフェリンluciferinと不安定なルシフェラーゼluciferaseと呼ばれる物質の反応(L‐L反応と呼ばれる)により生じる。L‐L反応は1916年にハーベーE.N.Harveyにより発見され,ホタルルシフェリンは1957年にマッケルロイW.D.McElroyらによりPhoturis pyralisというホタルから単離された。ツバサゴカイやある種のクラゲの発光反応はL‐L反応と異なり発光タンパクphotoproteinに金属イオンが作用して酸素を必要とせずに発光する。…

※「ホタルルシフェリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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