日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホイッグ党(イギリス)」の意味・わかりやすい解説
ホイッグ党(イギリス)
ほいっぐとう
イギリスの政党。自由党の前身。1670年代末、カトリック教徒の王弟ジェームズを王位継承者から除こうとした政治家が、スコットランドの反徒を意味する「ホイッグ」Whigという名でよばれたことに由来。対立するトーリー党が王権を尊重したのに対し、ホイッグ党は議会による王権の制限を主張し、名誉革命(1688~89)で議会政治が確立して以後、力を伸ばした。基本的には大地主、貴族の党であったが、商工業階級や非国教徒の支持も受けた。1714年にドイツからハノーバー朝を迎えてからは、同王朝の支持者として半世紀にわたって政権を独占し、ウォルポール以下の首相の下で内閣制度を発展させた。1760年のジョージ3世の即位以後は野党に下ることが多くなったが、この不遇期に、有力貴族を中心とする私的党派から、より近代的な政党に脱皮を遂げた。18世紀末から改革の党としての性格を徐々に強め、19世紀に入って、産業革命期の社会的変化に応じた政策を推進する自由主義的な政党となった。1832年には選挙法改正を実現し、やがて急進派と合流し自由党とよばれるようになるが、それ以後も「ホイッグ」という名が、ホイッグ党の伝統をくむ穏健派の政治家に対して使われた。