ペントースリン酸サイクル(読み)ペントースリンサンサイクル

化学辞典 第2版 の解説

ペントースリン酸サイクル
ペントースリンサンサイクル
pentose phosphate cycle

この回路に関する先駆的研究者の名をとり,ワールブルク-ディケンス(Warburg-Dickens)の回路ともいう.ヘキソース解糖反応のバイパスとみなされ,成分糖質が酸素呼吸における基質として役立つことが考えられる.反応経路を図に示す.D-グルコース6-リン酸はD-グルコン酸6-リン酸を経て,D-リブロース5-リン酸に変化し,さらにD-リボース5-リン酸およびD-キシルロース5-リン酸を生じる.後者の C1-2 部分が前者に転移して,D-セドヘプツロース7-リン酸およびD-グリセルアルデヒド3-リン酸を生じる.D-セドヘプツロース7-リン酸の C1-3 部分はD-グリセルアルデヒド3-リン酸とともにD-フルクトース6-リン酸を形成し,他方 C4-7 部分はD-キシルロース5-リン酸の C3-5 部分とともに,D-フルクトース6-リン酸を形成し,D-グルコース6-リン酸に変化して回路が完成する.この回路を6回転すると1分子のD-グルコース6-リン酸から6CO2と12NADPHが生成することになる.このNADPHは細胞中の還元的な合成反応に利用され,D-リボース5-リン酸は核酸の合成に供給される.この回路は,主として,動物では乳腺白血球肝臓などで見いだされる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 の解説

ペントースリン酸サイクル【pentose phosphate cycle】

別名を,ヴァールブルク‐ディッケンズの経路*ともいう.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

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