ペルミ(読み)ぺるみ(英語表記)Пермь/Perm'

デジタル大辞泉 「ペルミ」の意味・読み・例文・類語

ペルミ(Perm'/Пермь)

ロシア連邦ペルミ地方の都市。ウラル山脈西麓、ボルガ川支流のカマ川に臨む工業都市であり、シベリア鉄道が通る交通の要地。旧称モロトフ地質年代を表すペルム紀の名称は同地にちなむ。人口、行政区99万、都市圏99万(1992)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペルミ」の意味・わかりやすい解説

ペルミ
ぺるみ
Пермь/Perm'

ロシア連邦中部、ペルミ州の州都で、ウラル工業、交通の大中心都市。ウラル山脈中部西麓(せいろく)のカマ川にエゴシハ川が合流する地点にある。人口101万7100(1999)、100万7272(2012推計)。市域はおもにカマ川左岸に沿って延び、長さ50キロメートル、幅2~4キロメートルの細長い市街を形成し、ボルゴグラードウクライナドニプロに似た都市である。1940~1957年にはモロトフМолотов/Molotovと称した。1723年、当地に銅の精錬所がつくられたのが市の始まりであるが、その後この工場は閉鎖された。しかしカマ川の水運に恵まれ、シベリア鉄道が開通し、有利な地理的位置にあることから発展することとなった。ウラル産の金属の搬入西部の消費地への製品輸送に便利であったので、1863年ウラルでもっとも大きな金属加工工場が建設された。また、19世紀末に木材加工、農産物加工の工業がおこった。

 鉄道、ハイウェーの分岐点で、空港、河港を有し、工業はエカチェリンブルグと同様、機械工業が全生産物のなかばを占めるといわれる。造船業モーター、電話機器、自動鋸(のこぎり)、電気機械などの生産が主要な工業である。そのほか、製紙、化学染料、肥料、合成ゴム)、食品などの工業も発展している。ウラル最古(1916)の総合大学、鉱山、医科、薬科の各大学、石炭研究所、美術館、郷土博物館、劇場など、教育・文化施設も多い。

[中村泰三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペルミ」の意味・わかりやすい解説

ペルミ
Perm'

ロシア中西部,ペルミ地方の行政中心地。ウラル山脈中部西麓,カマ川中流部に臨む河港都市。1940~57年はモロトフ Molotov。ヤゴシハ村に 1723年銅精錬所が建設されて以降発展し,1780年ペルミと改称され,市となった。カマ川の水運,シベリア大道,のちシベリア横断鉄道の開通により,交通至便の地として商業も発展した。ロシア革命後,交通上の有利な条件は以前に増して市の発展を促し,大工業中心地に成長した。主要工業は造船,機械 (港湾用クレーン,炭鉱用設備,石油工業用設備,木材工業用設備,モータ,電話機) ,製油,化学 (肥料,染料) ,木材加工,食品などである。またウラル地方最古の総合大学であるペルミ大学 (1916) をはじめ,鉱業,医学,薬学などの大学,バレエ学校,美術館,劇場などの文化・教育施設がある。市域はカマ川に沿って 50kmも延び,近郊の衛星都市とともに大都市圏を形成している。鉄道,ハイウェーの分岐点で,空港もある。人口 99万1530(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「ペルミ」の意味・わかりやすい解説

ペルミ
Perm'

ロシア連邦中部,同名州の州都。中部ウラル地方の西側にあり,人口98万9499(2004)。旧名モロトフMolotov(1940-57)。カマ川とその支流チュソバヤ川の合流点の少し下流に位置し,市街地はカマ川両岸にまたがるが,東岸のほうが大きい。河港,鉄道分岐点として交通の要衝である。工業都市としても重要で,石油精製,石油化学,木材加工,製紙,建築材料,機械製造,造船などの工業が発達している。17世紀初めには小村であったが,1723年に銅製錬所が建設され,81年にペルミ市と改称,96年には県庁所在地となった。19世紀後半から商業中心となり,1930年代から工業都市となり,第2次世界大戦中は前線への物資供給に重要な役割を果たした。54年にカマ川の少し上流にカマ水力発電所が完成し,それまでの電力不足が解消された。総合大学を含めて六つの高等教育機関があり,地方誌博物館,美術館がある。
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百科事典マイペディア 「ペルミ」の意味・わかりやすい解説

ペルミ

ロシア中西部,ウラル山脈西麓,カマ川河岸の都市で,同名州の州都。1940年―1957年にはモロトフMolotovと称された。カマ川の水力発電を利用して各種機械,化学,製油,木材加工などの工業が行われる。大学(1916年創立)がある。1723年銅製錬所が建設されたのが市の起源。なおペルム紀(二畳紀)の名はこの地方に広く分布する地層にちなむ。98万6146人(2009)。

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