ペニスケース

改訂新版 世界大百科事典 「ペニスケース」の意味・わかりやすい解説

ペニス・ケース

男性性器にかぶせる筒状の保護具。全裸もしくはそれに近い状態で生活している熱帯原住民に発達しており,最小単位の服飾とも見られる。彼らの多くは,衣服は発達していない場合でも装飾本能は強く,ペニス・ケースも性器の保護と同時に,装飾の機能をももっている。アマゾン・オリノコ川流域の採集狩猟民,中央および北部アボリジニー,アフリカのスーダン地方の原住民,一部のメラネシア人などに見受けられる。素材はさまざまで,植物の茎や葉,竹,ヒョウタン貝殻,獣皮,樹皮などが用いられている。それに鳥の羽やビーズ,中には人間の髪の房などが装飾を目的としてとりつけられることも多く,誇示される傾向も強い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のペニスケースの言及

【衣服】より

…衣服は男女が互いに相手をひきつけようとする動機から生まれたとする説で,種族保存本能に裏づけられたものとする説である。例えば熱帯雨林地帯の裸族の男たちはたいていペニスケースを身につけているが,これは羞恥心から性器を覆うというより,外傷から性器を守る機能の方が強い。さらにペニスケースがきわめて装飾性に富み,極端に長くとがっていたり大きかったり,また鳥の羽毛や貝などの飾りがつけられていたりするのは,明らかに異性に性的刺激を与えようとするものである。…

【マレクラ[島]】より

…このうち南部の人々はスモール・ナンバスと呼ばれている。ナンバスとはピジン・イングリッシュでペニス・ケースのことであり,ヨーロッパ人のココヤシ農園主が男たちのつけているバナナの葉で作ったペニス・ケースを見て,彼らをスモール・ナンバスと呼んだ。北部の人々はこれに対してビッグ・ナンバスと呼ばれており,男たちのつけているパンダナスの葉を赤く染めて作った大きなふさのようなペニス・ケースがその名の由来である。…

※「ペニスケース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」