ベンゼンスルホン酸(読み)ベンゼンスルホンさん(英語表記)benzenesulfonic acid

精選版 日本国語大辞典 「ベンゼンスルホン酸」の意味・読み・例文・類語

ベンゼンスルホン‐さん【ベンゼンスルホン酸】

〘名〙 (ベンゼンスルホンはbenzenesulfone) ベンゼンを硫酸と熱してつくられる化合物化学式は C6H5SO3H 潮解性があり、水にとけやすい。有機合成中間体として重要。

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デジタル大辞泉 「ベンゼンスルホン酸」の意味・読み・例文・類語

ベンゼンスルホン‐さん【ベンゼンスルホン酸】

benzenesulfonic acid》代表的なスルホン酸ベンゼン濃硫酸と熱して得られる無色結晶潮解性があり、水・エタノールに溶ける。アルカリ融解するとフェノールが得られる。芳香族化合物の合成原料。化学式C6H5SO3H

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改訂新版 世界大百科事典 「ベンゼンスルホン酸」の意味・わかりやすい解説

ベンゼンスルホン酸 (ベンゼンスルホンさん)
benzenesulfonic acid


最も簡単な芳香族スルホン酸。融点50~51℃の無色の結晶であるが,潮解性が強く,通常は融点44℃の2水和物として取り扱われる。酸解離指数pKa(25℃)=0.70。水,エチルアルコールに溶けるが,ベンゼンには溶けにくい。ベンゼンを発煙硫酸によってスルホン化すると得られる。クロロスルホン酸Cl-SO3Hを用いてスルホン化を行うこともできる。ナトリウム塩を水酸化ナトリウムNaOHとともに融解すると-SO3Naが-ONaで置換され,さらにこれを酸化するとフェノールC6H5-OHが生成する。同様に,シアン化ナトリウムNaCNで融解するとベンゾニトリルC6H5-CNが,ナトリウムアミドNaNH2ではアニリンC6H5-NH2がそれぞれ得られる。五塩化リンPCl5を作用させると塩化ベンゼンスルホニルC6H5-SO2-Clを生成する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベンゼンスルホン酸」の意味・わかりやすい解説

ベンゼンスルホン酸
べんぜんするほんさん
benzenesulfonic acid

芳香族スルホン酸を代表する化合物。無色の結晶。ベンゼンに発煙硫酸を作用させて得られる。二水和物の融点は43~44℃。潮解性があり、保存しにくいため、普通は塩の形で保存する。水、エタノール(エチルアルコール)にはよく溶ける。ナトリウム塩を水酸化ナトリウムとともに融解し、酸で処理するとフェノールが得られる(フェノールの工業的製法の一つ)。五塩化リンの作用で塩化ベンゼンスルホニルC6H5SO2Clを、塩酸と加圧下で加熱するとベンゼンを生じる。

[務台 潔]

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化学辞典 第2版 「ベンゼンスルホン酸」の解説

ベンゼンスルホン酸
ベンゼンスルホンサン
benzenesulfonic acid

C6H6O3S(158.19).C6H5SO3H.ベンゼンを硫酸でスルホン化すると得られる.二水和物は葉状結晶.融点43~44 ℃.無水和物は融点65~66 ℃.pKa -2.7.潮解性がある.水,エタノールに可溶,ベンゼンに微溶,エーテル,二硫化炭素に不溶.アルカリ融解によりフェノールを生じる.エステル酸無水物酸ハロゲン化物が有機合成に使われている.[CAS 98-11-3]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベンゼンスルホン酸」の意味・わかりやすい解説

ベンゼンスルホン酸
ベンゼンスルホンさん
benzenesulfonic acid

化学式 C6H5SO3H・1.5H2O 。融点 43~44℃,無色板状晶。ベンゼンと発煙硫酸から合成される。水,アルコールに可溶。水溶液は強い酸性を示す。アルカリ融解によってフェノールが合成される。

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