ベリーニ[一族](読み)ベリーニ

百科事典マイペディア 「ベリーニ[一族]」の意味・わかりやすい解説

ベリーニ[一族]【ベリーニ】

ルネサンス初期に活躍したイタリアの画家一家。ヤコポJacopo Bellini〔1400ころ-1470か1471〕はベネチアに生まれ,ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ弟子で,ドナテロの影響も受けた。写実的描写や人間的情感の表現により新時代の基礎を築き,ベネチア派の祖とされる。作品に《リオネロ・デステに礼拝される聖母子》(1441年,ルーブル美術館蔵)などがあるが,むしろ遠近法を積極的に研究し絵画空間の可能性を開拓した2冊の素描帖(ルーブル美術館および大英博物館蔵)が重要である。子のジェンティーレGentile Bellini〔1429-1507〕は,父や義兄弟マンテーニャに学び,宗教画のほか,ベネチア共和国の専属画家として,また1479年―1480年イスタンブールのスルタン宮廷画家として《メフメト2世の肖像》(ロンドン,ナショナル・ギャラリー蔵)を制作している。油彩画法を採用し,色彩豊かなベネチア派の確立に貢献した。代表作は《十字架の奇跡》の連作。その弟ジョバンニGiovanni Bellini〔1430ころ-1516〕は,特にマンテーニャの影響を受けてパドバ派風の作品を描いたが,のち暖かく豊麗な色彩と柔らかな肉付け特色とする独自の様式を開いた。《ペーザロ祭壇画》(1475年ころ,ペーザロ,市立美術館蔵)をはじめとして多くの祭壇画や《聖母子》,寓意画のほか《統領レオナルド・ロレダン》(1501年ころ,ロンドン,ナショナル・ギャラリー蔵)などの肖像画にも秀作がある。
→関連項目カルパッチョティツィアーノバルチュスビバリーニ[一族]ピュジェロット

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android