ベネディクト(16世)(読み)べねでぃくと(英語表記)BenedictusⅩⅥ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベネディクト(16世)」の意味・わかりやすい解説

ベネディクト(16世)
べねでぃくと
BenedictusⅩⅥ
(1927―2022)

第265代ローマ教皇法王)。本名はヨーゼフ・ラッツィンガーJoseph A. Ratzinger。4月16日、ドイツ南部バイエルン州の小村に生まれる。父親は警察官で、13歳で神学校に入学した。第二次世界大戦中はナチスの青少年組織「ヒトラー・ユーゲント」に加わったといわれるが、「強制的に参加させられた」と本人は弁明している。ミュンヘン大学で神学、哲学を学び、1951年に司祭となる。大学教師を経て1962年から1965年まで、第二バチカン公会議神学顧問。この時期は若手リベラル派のホープとみられていたが、しだいに保守派に傾いていく。

 1969年、ドイツ・レーゲンスブルク大学副学長、1977年ミュンヘン大司教、同年枢機卿(すうききょう)。1981年にローマ教皇庁の教理省長官に就任し、保守派の代表格として前任の教皇ヨハネ・パウロ2世を支えた。2002年に首席枢機卿に就任。2005年4月のヨハネ・パウロ2世の葬儀でも主宰者を務めた。教皇選出会議(コンクラーベ)では本命候補の一人とされ、4回目の投票で新教皇に選出された。そのとき78歳で、教皇就任時の年齢としては20世紀以降で最高齢。ピアノ趣味で、モーツァルトベートーベンを愛好した。

[土生修一]

 2013年2月、辞意を表明し、同月28日に教皇を退位。退位後の称号は名誉教皇であった。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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