ベトナム秘密報告書事件(読み)ベトナムひみつほうこくしょじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベトナム秘密報告書事件」の意味・わかりやすい解説

ベトナム秘密報告書事件
ベトナムひみつほうこくしょじけん

アメリカ国防総省がベトナム戦争深刻化の要因,経過などを研究した部外秘公式記録 Pentagon Papersの暴露事件。 1971年6月 13日『ニューヨーク・タイムズ』紙が,その大筋を特集,続き物で解説を開始,司法省は 14日夜同紙に対し秘密文書の公開中止を申入れた。同紙が自発的掲載中止を拒否したところ,ニューヨーク市のアメリカ連邦地方裁判所は,15日午後掲載の一時中止の仮処分命令を出した。 18日『ワシントン・ポスト』紙も秘密文書の要約を解説のなかに織り交ぜて発表,掲載中止に関する政府の仮処分申請はいったん却下されたが,連邦控訴裁判所が却下決定をくつがえした。しかし6月 30日最高裁判所は掲載中止の政府の要求を6対3で却下し,掲載が再開された。また R.ニクソン大統領は6月 23日秘密報告の全文議会に提出すると声明,その後,「インドシナ介入経過報告書」が発表された。司法省は,マサチューセッツ工科大学の D.エルズバーグ研究員を秘密文書提供者として逮捕,起訴した。

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