ベッヒャー(英語表記)Johannes Robert Becher

精選版 日本国語大辞典 「ベッヒャー」の意味・読み・例文・類語

ベッヒャー

(Johannes Robert Becher ヨハネス=ローベルト━) ドイツの詩人。反戦的な政治詩人として活躍した。東ドイツ国歌の作詞者。詩集に「美しいドイツの帰郷」、論文集「詩の擁護」など。(一八九一‐一九五八

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デジタル大辞泉 「ベッヒャー」の意味・読み・例文・類語

ベッヒャー(Johannes Robert Becher)

[1891~1958]ドイツの詩人。表現主義から出発し、反戦的な政治詩人として活躍。詩集「滅亡と勝利」、自伝小説別れ」、評論「詩の擁護」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「ベッヒャー」の意味・わかりやすい解説

ベッヒャー
Johannes Robert Becher
生没年:1891-1958

ドイツの詩人。ミュンヘンに裁判官の息子として生まれ,哲学と医学を学ぶ。青年期,ベルレーヌ,ボードレールなどの影響を受けて前衛的な詩を作り,詩集《滅亡と勝利》(1914)で表現主義のリーダーとなる。1917年ロシア十月革命に共感し共産主義への信念を深める。28年ドイツ革命作家同盟の設立に参加,書記長となり,機関誌《リンクスクルベ》に拠ってファシズムとたたかう。33年亡命。ヨーロッパ各地を経てソ連に入り,35年以後反ファシズム雑誌《国際文学》の編集に携わる。戦後いち早く帰国し,詩作を続けるとともに文部大臣など要職を歴任し,文化・芸術分野での活動を通じて民主ドイツの再建に力をつくす。円熟期の作品は豊かな抒情ヒューマニズムにあふれた傑作が多く,《ドイツ民主共和国国歌》(1949)のほか,詩集《遠い幸福--近く輝き》(1950),《ドイツのソネット》(1952),《美しいドイツの故郷》(1956)など。レーニン平和賞受賞。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベッヒャー」の意味・わかりやすい解説

ベッヒャー
Becher, Johannes Robert

[生]1891.5.22. ミュンヘン
[没]1958.10.11. ベルリン
ドイツの詩人,小説家。『苦闘する人』 Der Ringende (1911) で,表現主義の詩人として出発したが,社会主義者としての自覚を深め,1917年スパルタクス団に入り,翌年共産党に入党。作風も表現主義から写実的なものへ移った。詩集『レーニン廟にて』 Am Grabe Lenins (24) ,『ぼくらの時代の人間』 Ein Mensch unserer Zeit (29) がある。 33年から亡命生活,35~45年ソ連に滞在,帰国後は東ドイツ文化同盟会長,文化大臣などを歴任。詩集『幸福を求める人と七つの重荷』 Der Glücksucher und sieben Lasten (38) ,『無名の歌として』 Als namenloses Lied (58) ,小説別離』 Abschied (40) ,戯曲『冬の戦闘』 Winterschlacht (45) など。

ベッヒャー
Becher, Johann Joachim

[生]1635.5.6. シュパイエル
[没]1682.10. ロンドン
ドイツの化学者,医者,経済学者,冒険家。マインツ大学教授 (1666) ,その後ウィーンで商業会議所顧問。のちイギリスに渡り,オーストリアへの紡績工業移植に従事するとともに,鉱山研究を行い,石炭のコークス化やタール採取などに貢献した。燃焼とは物質中の3つの土性成分──ガラス質,水銀質,可燃質──のうち可燃質の土が解き放たれることとするのが彼の燃焼理論であり,G.シュタールの「フロギストン説」形成に多大の影響を与えた。経済学者としては重商主義を説いた。主著『地下の自然に精通した化学実験室の記録』 Actorum Laboratorii Chymici Monacensis,Seu Physicae Subterranea (69) 。

ベッヒャー
Becher, Ulrich

[生]1910.1.2. ベルリン
[没]1990.4.15. バーゼル
ドイツの小説家,劇作家。ジャーナリストとして,ベルリン,ジュネーブで活躍,演出家ピスカートルのすすめで戯曲を書く。 1933年以降各地で亡命生活をおくった。その体験からナチズム,亡命,戦争,政治闘争をテーマとする作品が多い。代表作,小説『おはじき狩り』 Murmeljagd (1969) 。

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百科事典マイペディア 「ベッヒャー」の意味・わかりやすい解説

ベッヒャー

ドイツの詩人。表現主義左派の代表的存在でドイツ共産党結成時からの党員。社会主義建設をたたえる叙事詩などを書いて,作風は次第にリアルに簡明になる。第2次大戦中はソ連に亡命,戦後は文化相その他としての組織活動や理論的著作に重点が移行。詩集《滅亡と勝利》(1914年),《ぼくらの時代の人間》(1929年),論文集《詩の擁護》(1952年)など。

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