ベッヒャー(Johann Joachim Becher)(読み)べっひゃー(英語表記)Johann Joachim Becher

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ベッヒャー(Johann Joachim Becher)
べっひゃー
Johann Joachim Becher
(1635―1682)

ドイツの医・化学者、重商主義者。幼いときから諸国を遍歴し独学する。マインツ選帝侯侍医(1663)を皮切りにドイツ諸侯に仕え、技術センター設立、教育改革、東洋交易会社設立など産業振興を図る。1679年イギリスに渡り、そこで死去する。化学や医学、神学、政治など広範囲にわたる著述を残す。化学者としては、シュタールフロギストン説源泉となったほかに、アルコールと硫酸からのエチレンガスの生成、海砂からの金抽出、石炭からコークスおよびタールの生成の業績がある。主著『地下の自然学』(1667)において、元素は空気、水、土であり、地下物質は3種の土、すなわち、実質を担う「ガラス性」、色と燃焼を担う「脂肪性」、形・臭(にお)い・重さを担う「流動性」の土からなるとした。脂肪性の土はパラケルススの「硫黄(いおう)」に由来し、シュタールはこれをフロギストンと改名し、燃焼その他の化学現象の本質とした。

[肱岡義人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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