日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ベッカー(Oskar Becker)
べっかー
Oskar Becker
(1889―1964)
ドイツの哲学者。ライプツィヒに生まれる。1931年以来ボン大学教授として、とくに論理学や数学の哲学的研究に携わる。また美学の領域でも、『美のはかなさと芸術家の冒険性』(1929)において、フッサールやハイデッガーの現象学や存在論に基づいて、ゾルガーKarl Wilhelm Ferdinand Solger(1780―1819)の「美のはかなさ」の概念や、シェリングの美の規定を改めて取り上げ、「美のもろさ」という独自のカテゴリーをたてた。著書には『歴史的展開における数学の基礎』(1954)や『現存在と現実体』(1963)などがある。
[西村清和 2015年4月17日]
『久野昭訳『美のはかなさと芸術家の冒険性』(1964・理想社)』