ベタイン

デジタル大辞泉 「ベタイン」の意味・読み・例文・類語

ベタイン(betaine)

アミノ酸アミノ基に3個のメチル基が付加した化合物総称動植物に広く存在し、特にサトウダイコンに多く含まれる。甘味料調味料などの食品添加物保湿剤として使用される。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ベタイン」の解説

ベタイン
ベタイン
betaine

】一つの分子中に陽イオンとして第四級アンモニウムイオンの構造と,陰イオンとして酸,とくにカルボン酸の陰イオンの構造をもつ分子内塩の一般名.結晶でも,水溶液中でも双性イオンとして存在する.アミノ酸のN-トリアルキル誘導体はこれに属する.【N-トリメチルグリシン(N-trimethylglycine).1-carboxy-N,N,N-trimethylmethanaminium inner salt.C5H11NO2(117.15).(CH3)3NCH2COO.サトウダイコン,綿実,そのほか多くの植物中に存在する.コリンの酸化,グリシンのメチル化,クロロ酢酸トリメチルアミンとの反応などにより合成される.普通,一水和物の柱状または葉状晶で,100 ℃ で無水物になる.潮解性があり,水,メタノールに易溶,エタノールに可溶,エーテルに不溶.分解点310 ℃ でジメチルアミノ酢酸メチル(CH3)2N-CH2COOCH3に異性化する.塩基の性質を有し,塩酸塩[(CH3)3N-CH2COOH]Clを与える.濃水酸化カリウム溶液によって,トリメチルアミンを生じる.生体内ではコリンの酸化によって生成し,ホモシステインからメチオニンが生成する際のメチル基供与体となる.金の検出に用いられるが,白金属とは反応しない.[CAS 107-43-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベタイン」の意味・わかりやすい解説

ベタイン
betaine

(1) (CH3)3N+CH2COO- の化学式で表わされる化合物。広く動植物界に分布する。潮解性の鱗片晶または角柱晶。水のほかにアルコールにもよく溶けるが,エーテルには難溶。水から再結晶すると水化物となり,100℃に加熱するともとに戻る。グリコチアミンと結合させて,筋力低下の治療薬とする。このほか,アスパラギン酸と結合させて消化不良,肝臓障害などの治療薬とし,またその塩酸塩は脂肝防止薬として用いられる。 (2) 広義には1つの分子中に第四アンモニウム陽イオンと,カルボキシレートなどの陰イオンをもった分子内塩に対する一般名。一般塩類と同様に高融点または高分解点の結晶となる。極性なので水溶性である。多くのベタインは植物,動物の組織中に存在するが,アミノ酸のアルキル化またはハロゲン置換カルボン酸と第三アミンとの反応によっても合成される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「ベタイン」の解説

ベタイン

 →グリシンベタイン

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のベタインの言及

【クコ(枸杞)】より

…葉を枸杞葉(くこよう),果実を枸杞子,根の皮を地骨皮(じこつぴ)という。いずれもベタインbetaineを含み,強壮薬として葉は枸杞茶に,果実は他の生薬と配合して高血圧,めまい,肝臓疾患,貧血,腰ひざの疼痛(とうつう)などの治療に用い,一方,地骨皮も他の生薬と配合して解熱強壮薬として,咳嗽(がいそう),吐血,多汗などの療法に応用される。果実はまた酒につけて枸杞酒として使われ,不老長寿,強精の効があるという。…

※「ベタイン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android