ヘンルーダ
へんるーだ
[学] Ruta graveolens L.
ミカン科(APG分類:ミカン科)の常緑多年草。南ヨーロッパ原産。香草として栽培され、明治初年に日本に導入された。オランダ語のビンルートwijnruitが訛(なま)ってヘンルーダとよばれるようになったという。根元は小木状になる。高さ約1メートル、葉は2~3回羽状に裂け、裂片は長楕円(ちょうだえん)形。6~7月に集散花序を茎頂につけ、黄色の小花を開く。小花は5弁または4弁。蒴果(さくか)は球形、中に褐色小球形の種子がある。葉はもむと強いにおいがし、欧米人はこのにおいを好んで、料理の香料に用い、昔から有名なハーブである。また通経、鎮けいなどの薬効も知られ、葉を書物の間に挟めば虫食い予防になるという。しかし日本人一般にはこのにおいは臭みとして嫌われ、ハーブとしても普及していない。
[星川清親 2020年10月16日]
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ヘンルーダ
〘名〙 (wijnruit の変化した語) ミカン科の多年草。南ヨーロッパ原産。明治初年に
渡来し観賞用にまれに栽植される。高さ約一メートル。茎・葉・果実には油点があり、強い芳香を放つ。葉は二~三回
羽状複葉。各裂片は長楕円状へら形で紫
緑色を帯びる。
初夏、枝梢に緑黄色の小さな四~五弁花が咲く。果実は小球形で四~五室からなる。鎮痙
(ちんけい)・駆虫・通経・かぜ薬にされ、葉を書籍にはさむと虫害を防ぐという。江戸時代の本草書でヘンルーダと称しているものはコヘンルーダのこと。漢名、
芸香(うんこう)。《季・夏》
※紅毛談(1765)下「へんるうだ、これもるうだに似てあくしうあり」 〔日本植物名彙(1884)〕
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ヘンルーダ
Ruta graveolens; common rue
ミカン科の常緑多年草。地中海沿岸の原産であるが,薬用植物として日本各地で栽培された。茎は分枝し,下部は木化して高さ 30~90cmになり,全株に強い臭気がある。葉は互生し,数回羽状分裂して裂片は楕円形,腺点がある。初夏に,枝の先に集散花序をなし,黄色で,径約 1.5cmの花をつける。花は4数性のものと5数性のものがあり,どちらの場合もおしべは花弁数の2倍である。 蒴果は4~5室で油点が多い。全草中に 0.06%ほどの精油があり,フラボノール配糖体のルチンを含む。全草を薬剤とし,通経,ヒステリーに効があるという。
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ヘンルーダ
南欧原産のミカン科の常緑多年草。高さ50cm内外,全株に強臭がある。明治初年に渡来し,現在では所々に植えられている。葉は互生,羽状複葉。6月ごろ集散花序をなして黄色の小花を開く。全草を風乾したものを芸香(うんこう)と呼び,茶剤として駆風,通経に用いる。繁殖は実生(みしょう)または株分けによる。
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デジタル大辞泉
「ヘンルーダ」の意味・読み・例文・類語
ヘンルーダ(〈オランダ〉wijnruit)
ミカン科の多年草。高さ約1メートル。葉は羽状に細かく裂けていて、強い匂いがある。初夏、黄色い花が咲く。南ヨーロッパの原産で、香草。日本には明治初年に渡来。
香。
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ヘンルーダ【common rue】
強臭のある南ヨーロッパ原産の薬用植物で,日本には1868年に渡来し,現在でもまれに植えられているミカン科の多年草(イラスト)。高さ50~100cmに達する。茎は白色を帯びた緑色で,下部は木質。葉は互生し,2~3回全裂または深裂し,長さ6~12cm。裂片は長楕円形またはへら形で,縁に鋸歯がないかまたは小さい鋸歯があり,淡緑色または紫色を帯びる。初夏,枝先に集散花序を出し,径2cmくらいの黄色の花をつける。
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