ヘンリー(William Henry)(読み)へんりー(英語表記)William Henry

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ヘンリー(William Henry)
へんりー
William Henry
(1774―1836)

イギリスの医師、化学者。マンチェスターの化学工業家の家に生まれる。1795年エジンバラ大学入学。家業手伝いのため中退するが、再入学し、1807年医学博士。医師および家業の経営者として生計をたてながら科学研究をする。伝染病の化学物質原因説のような医学研究もあるが、アンモニア組成研究、ガス産業の発展に貢献した炭化水素混合物分析などの気体研究で大きな業績をあげた。とりわけ、ソーダ水製造のため炭酸ガスの水溶性を調べ、溶解度は気体圧力に比例するというヘンリー法則をみいだす(1803)。また、彼の気体分析データは友人ドルトンの化学的原子論形成に大きな貢献をした。晩年には幼時に負った重傷がもとで神経を病み、自殺を遂げた。1801年に著した化学教科書は好評で版を重ねた。宇田川榕菴(ようあん)の『舎密開宗(せいみかいそう)』(1837~1847)はオランダ語訳からの重訳である。

[肱岡義人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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