ヘンリー(7世)(読み)へんりー(英語表記)Henry Ⅶ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘンリー(7世)」の意味・わかりやすい解説

ヘンリー(7世)
へんりー
Henry Ⅶ
(1457―1509)

チューダー朝初代のイギリス王(在位1485~1509)。リッチモンド伯エドマンド・チューダーを父としてペンブローク城に生まれる。母はジョン・オブ・ゴーントの曽孫(そうそん)にあたるマーガレット・ボーフォート。彼の王位請求権はそこから生じた。ヘンリー6世の死によりランカスター派の頭領と認められたが、エドワード4世の圧力を受けて国外で暮らすことを余儀なくされた。1485年ウェールズに上陸、ボズワースの野でリチャード3世を破って即位、ヨーク家のエリザベス(エドワード4世の娘)と結婚してばら戦争に終結をもたらした。全治世を通じて王権の強化と国内秩序の維持に努め、「星室庁」を設置して強者横暴を抑えた。とくに家臣に「仕着せ」を与えたり、法廷で家臣のためになされる「訴訟幇助(ほうじょ)」の禁止をもって封建貴族の勢力打破を図り、逆に中産階級の成長のために種々の施策を講じた。重商主義政策の採用はその重要な一環である。また、ヨーマン保護のためにエンクロージャー囲い込み)を取り締まるための法を定めている。王自身、倹約を守って王室財政の基礎を固めた。外交面では大陸に干渉しないことを方針としていたが、強国スペイン支援を必要とするところから、1501年王子アーサーの妃にスペインの王女キャサリン(のちにヘンリー8世最初の妃となる)を迎えた。

[植村雅彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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