ヘルワーン(英語表記)Ḥelwān

改訂新版 世界大百科事典 「ヘルワーン」の意味・わかりやすい解説

ヘルワーン
Ḥelwān

エジプト北部,カイロ南郊の都市。フルワーンḤulwānとも呼ばれる。人口32万8000(1991)。鉱泉の湧く地として古くから知られ,ファラオ時代の定住跡やローマ時代の浴場が発掘されている。690年にウマイヤ朝カリフ,マルワーン2世の子,アブド・アルアジーズはこの地を購入して宮殿庭園を建設,かつてその金貨がここで鋳造されていた。やがて町は衰退に向かうが,19世紀後半,イスマーイール・パシャはこの地に宮殿を建設して町を再興し,首都郊外の住宅地として発展した。現在はアフリカ最大の高炉をもつ製鉄所や煉瓦工場も建ち並び,エジプト有数の工業地帯を形成している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のヘルワーンの言及

【カイロ】より

…平均年雨量は28mm,月平均気温は1月に12.4℃,7月に28.2℃,4月,5月に何回か来襲するハムシンという砂あらしを除けば,年間を通じてきわめて快適な気候である。 1950年,初めて市政府が成立,アフリカ最大の都市で,ギーザヘリオポリスヘルワーンHulwānなど近郊都市もあわせると,人口は1000万を超える。歴史的な人口推定は,ファーティマ朝盛期の11世紀に30万以上,12世紀に衰えて15万~20万,マムルーク朝時代の14世紀前半に約60万,オスマン帝国時代初期の16世紀中葉に約43万,ナポレオン軍侵略の19世紀初めに約25万,1882年に約40万,1907年に約68万,27年に約106万,47年に200万を超えた。…

※「ヘルワーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android