ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘラー」の意味・わかりやすい解説
ヘラー
Heller, Joseph
[没]1999.12.12. アメリカ,ニューヨーク,イーストハンプトン
アメリカのユダヤ系小説家。第2次世界大戦中,60回の爆撃行に参加,戦後コロンビア大学大学院に学ぶ。コピー・ライターのかたわら書いた『キャッチ 22』 Catch-22 (1961) は,地中海の小島を基地とする爆撃隊の物語を喜劇に仕立てたブラック・ユーモアの傑作であるが,単なる戦争批判にとどまらず,人間性を圧殺するあらゆる官僚的機構に向けられた激越な告発となっている。久しく待たれた第2作『何かが起った』 Something Happened (74) は,中年商社マンの精神分析的な告白から成る作品であった。ほかに『神のみぞ知る』 God Knows (84) ,戯曲『ニュー・ヘーブンを爆撃せり』 We Bombed in New Haven (1968) などがある。
ヘラー
Heller, Hermann
[没]1933.11.5. マドリード
ドイツの政治学者,国法学者。 1928年ベルリン大学公法教授を経て,32~33年フランクフルト大学教授。 33年ナチスの台頭によりドイツを去った。国家とは「支配構造」であり,「権力保有者と権力に従属する者の組織された決定統一体であり,また活動統一体である」と説いた。主著『社会主義と国家』 Sozialismus und Nation (1925) ,『主権』 Die Souveränität (27) ,『ヨーロッパとファシズム』 Europa und der Faschismus (29) ,『国家学』 Staatslehre (34) 。
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