ヘテロセントロン(読み)へてろせんとろん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘテロセントロン」の意味・わかりやすい解説

ヘテロセントロン
へてろせんとろん
[学] Heterocentron

ノボタン科(APG分類:ノボタン科)の不耐寒性多年草または低木。メキシコ、中央アメリカに27種が分布する。よく知られるメキシコノボタンH. macrostachyum Naud.はメキシコ原産の低木で、高さ30~90センチメートル、茎には四稜(りょう)があり、刺(とげ)が多い。分枝は少なく毎年株元から新茎を伸ばす。葉は対生し、楕円(だえん)形、長さ3~5センチメートル。先は鈍頭または鋭頭状で、毛茸(もうじ)が多く羽状脈がある。秋から初冬にかけて円錐(えんすい)花序を頂生し、径2センチメートルの桃色の4弁花を開く。またエレガンスH. elegans Kuntzeはメキシコ原産の匍匐(ほふく)性常緑低木。赤みを帯びた茎は角張った円柱形で、細長く伸び、よく枝分れしてマット状に広がる。葉は長さ約2センチメートル、卵形から長楕円状卵形で、先は鋭くとがる。花は枝端に単生し、鮮紫紅色で、径2.5センチメートル。近年ヒメノボタンの名で、春から初夏の吊(つ)り鉢として市販されているが、ノボタン科ではあるが別属の植物日本に野生する多年草ヒメノボタンOsbeckia chinensis L.と同名のためよく混同される。

[植村猶行 2020年8月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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