ヘス(Rudolf Hess)(読み)へす(英語表記)Rudolf Hess

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ヘス(Rudolf Hess)
へす
Rudolf Hess
(1894―1987)

ナチス・ドイツの政治家。第一次世界大戦後ミュンヘン大学に学び地政学のハウスホーファー教授の影響を受ける。在学中、右翼団体のトゥーレ協会に入り、さらに1920年ナチ党に入党した。1923年のヒトラーミュンヘン一揆(いっき)(ヒトラー一揆)に参加、翌1924年裁判で禁錮刑の判決を受け、ヒトラーと同じランツベルク陸軍刑務所に収監された。このときヒトラーの『わが闘争』の口述筆記を依頼され、以後ヒトラーの私設秘書となった。1933年ヒトラーにより党総統代理の地位を与えられたが、他のメンバーの活動の陰に隠れ存在が薄かった。1941年5月、ドイツの対ソ攻撃の直前、単身飛行機を操縦してスコットランドに飛び、独断でイギリスとの和平を図ったがイギリス政府に無視され、ナチ党からは常軌を逸した行動とされた。1946年ニュルンベルク裁判で終身刑の判決を受け、ベルリンのシュパンダウ刑務所で服役。のち旧西ドイツ政府は高齢を理由にしばしば釈放を要請したが実現しないまま、41年の獄中生活のすえ、1987年8月17日93歳で死亡した。自殺とみられている。

[藤村瞬一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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