プロピルアルコール(英語表記)propyl alcohol

改訂新版 世界大百科事典 「プロピルアルコール」の意味・わかりやすい解説

プロピルアルコール
propyl alcohol

炭素数3個の脂肪族飽和アルコール(一般式C3H7OH)で,プロパノールpropanolともいう。以下に記す2種の異性体がある。

n-プロピルアルコールともいう。IUPAC名は1-プロパノール。化学式CH3CH2CH2OH。メチルアルコール様の香りのある液体。融点-89.5℃,沸点82.4℃,比重0.8035(20℃)。水,エーテルエチルアルコールと任意の割合で混ざる。フーゼル油中に3~7%含まれる。メチルアルコール製造の副生物として得られる。

IUPAC名は2-プロパノール。化学式(CH32CHOH。融点-89.5℃,沸点82.4℃,比重0.7864(20℃)。無色,揮発性,引火性の液体。水,エチルアルコール,エーテルに易溶。石油分解ガス中に含まれるプロピレンCH3CH=CH2硫酸に吸収させて硫酸イソプロピルとしたのち加水分解する間接水和法,あるいは触媒を用いてプロピレンと水を1段で反応させる直接水和法により製造される。アセトンなどの合成原料,不凍液,溶剤,消毒用として用いられる。
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化学辞典 第2版 「プロピルアルコール」の解説

プロピルアルコール
プロピルアルコール
propyl alcohol

1-propanol.C3H8O(60.10).CH3CH2CH2OH.炭素数3の脂肪族飽和アルコールを総称する場合もあるが,そのうちとくに末端炭素にヒドロキシ基をもつ1-プロパノールをいう.n-プロパノールともよばれる.フーゼル油中に数% 含まれる.実験室的には,塩化エチルマグネシウムとトリオキシメチレンとの反応で得られる.工業的には,フーゼル油から分留するか,エテン,一酸化炭素および水素からオキソ合成で得られるプロピオンアルデヒドを水素化して合成される.また,メタノール合成の副生物としても得られる.エタノールに似た香りをもつ無色の液体.融点-126.2 ℃,沸点97.21 ℃.0.79948.1.38355.爆発範囲2.1~13.5体積%.水,エタノール,エーテルに易溶.塗料印刷インキなどの溶剤として用いられる.[CAS 71-23-8][別用語参照]イソプロピルアルコール

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロピルアルコール」の意味・わかりやすい解説

プロピルアルコール
propyl alcohol

プロパノールともいう。化学式 C3H7OH 。1分子中の炭素原子数が3個のアルコールで,2種の異性体がある。 (1) イソプロピルアルコール 化学式 (CH3)2CHOH 。 (2) n -プロパノール 化学式 CH3(CH2)2OH 。エチルアルコールのような匂いのする無色の液体。フーゼル油の中に少量含まれる。沸点 97.4℃。水とは任意の割合で混る。塩化カルシウム飽和溶液にエチルアルコールは溶けるが,1-プロパノールは溶けないので,エチルアルコールとはこの点で区別される。酸化するとプロピオンアルデヒドまたプロピオン酸となるが,エチルアルコールはアセトアルデヒドまたは酢酸になるので,この点でも両者は区別される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロピルアルコール」の意味・わかりやすい解説

プロピルアルコール
ぷろぴるあるこーる

プロパノール

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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