プロバンス語(読み)プロバンスご

精選版 日本国語大辞典 「プロバンス語」の意味・読み・例文・類語

プロバンス‐ご【プロバンス語】

〘名〙 南フランスのプロバンス地方で話される諸方言総称オック語あるいはオクシタン語とも。フランス語などと同じくガロロマンス語に属する。十一世紀末から十三世紀にかけて、南仏吟遊詩人(トルバドール)の抒情詩、また法律行政言語として最盛期を迎えたが、後にフランス語に駆逐された。

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百科事典マイペディア 「プロバンス語」の意味・わかりやすい解説

プロバンス語【プロバンスご】

インド・ヨーロッパ語族ロマンス語一つ。南フランス,プロバンス地方の言語。北フランスのオイル語に対し,オック語langue d'ocの名で呼ばれる。中世にはトルバドゥールによって恋愛詩などが作られたが,徐々に北部のフランス語におされ独立性を失った。フランス語に比較してラテン語との近似性が大きい。→フランス語
→関連項目カタルーニャ語ミストラル

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改訂新版 世界大百科事典 「プロバンス語」の意味・わかりやすい解説

プロバンス語 (プロバンスご)
Provençal

オック語(=オクシタン(語))のプロバンス方言のこと。なおオック語にはこのほか,リムーザン,ガスコーニュ,ラングドックの各方言が含まれ,それらも〈ラングドック語〉のように呼ばれることがある。また〈プロバンス語〉という名称は,オック語全体を指して用いられる場合もある。
オクシタン
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロバンス語」の意味・わかりやすい解説

プロバンス語
プロバンスご
Provençal language

狭義ではフランスのプロバンス地方の方言。広義ではそれも含めて,オーベルニュ,ガスコーニュなどの南フランスの諸方言。オック語 (ラング・ドック) ,オクシタン語ともいう。ゴール人やゲルマン人の言語からの影響が北フランスに比べて少なかったので,同じラテン語から発達しながら,北フランスの言語とは違う様相を呈するにいたった。 12~14世紀には南フランスの標準語というべきものができており,トルバドゥールはこれを用いて詩作した。 13世紀以来,徐々に北フランス語に圧倒されて独立性を失い,19世紀にはフェリブリージュ運動で文学語としての地位を回復したが,現在ではフランス語の方言の位置を占めるだけになった。

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世界大百科事典(旧版)内のプロバンス語の言及

【オクシタン】より

…オック語の意。南フランスで行われるロマンス語の一つで,プロバンス語Provençalとも呼ばれる。中世フランスには,ともにラテン語から派生したオイル語(北部)とオック語(南部)が行われていたが,12,13世紀吟遊詩人が輩出したため,オック語はいち早く文芸語としての地位を確立した。…

【オーバネル】より

…フランスの詩人。南仏プロバンス語の抒情詩,劇作で知られる。はじめルーマニーユやミストラルらと,トルバドゥール(中世南仏吟遊詩人)たちの輝かしい伝統を持つプロバンスの言語を刷新し,プロバンス独特の文学をうちたてて故国の顕揚をはかろうと,1854年文学再興運動〈フェリブリージュ〉を結成した。…

※「プロバンス語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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