プレーグルの炭水素微量定量法(読み)プレーグルノタンスイソビリョウテイリョウホウ

化学辞典 第2版 の解説

プレーグルの炭水素微量定量法
プレーグルノタンスイソビリョウテイリョウホウ
Pregl's method for microanalysis of carbon and hydrogen

F. Pregl(プレーグル)が1916年に発表した,有機化合物中の炭素および水素の微量定量分析法.有機化合物3~5 mg を白金ボートにはかりとり(1 ug まで正確にはかりとる),燃焼管内に挿入して,十分精製された定流速(4 mL min-1)の酸素気流中で燃焼し,炭素および水素を二酸化炭素と水に変換する.燃焼管内でハロゲン,硫黄酸化物,窒素酸化物などの定量妨害成分を除去したのち,水および二酸化炭素を吸収管に導いて分別吸収させる.この吸収管の重量増加から,水,二酸化炭素の生成量を算出し,炭素および水素の含有率を求める.図にプレーグルの炭水素微量定量法に用いられる装置および燃焼管を示した.この装置はプレーグル法原図を示したもので,ガス燃焼方式である.この分析法はリービッヒ法の原理にもとづき,微量化の改良が加えられたものであり,燃焼管は白金ボート側から,銀線-線状酸化銅(Ⅱ)とクロム酸塩混合物-銀線-二酸化鉛など,試料の完全燃焼のための助熱剤,ハロゲン・硫黄酸化物吸収剤,窒素酸化物除去剤が充填され,二酸化鉛の左側は3~5 mm 厚さのアスベスト層の制動栓が設けられている.これは各種有機化合物の燃焼速度の調整や測定成分の移動速度を均一化するためのプレーグル法のもっとも重要な部分である.Preglのこの分析法は,高感度微量化学はかりの製作,ミクロ・デュマ法(窒素),ハロゲン・硫黄定量法,灰分および結晶水の定量法,官能基定量法などとともに,現在の有機微量分析法の基本をなしている.この分析法は今日,燃焼管充填剤,二酸化鉛の性能が向上し,吸収管充填剤の改良,石英管,燃焼管,吸収管までの各器具類および電気式燃焼炉や発熱体の進歩,誤差原因の解明など多数の改良がなされており,信頼性の高い分析法として広く普及している.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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