日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
プリニウス(Gaius Plinius Caecilius Secundus)
ぷりにうす
Gaius Plinius Caecilius Secundus
(61ころ―113)
ローマの政治家、弁論家、著作家。北イタリアのコムム(現コモ)生まれ。小プリニウスともよばれる。早く父に死別し、母方の叔父である大プリニウスの養子となる。法廷弁論家として活躍する一方、政治家としても数々の重要官職を歴任し、110年ころビテュニア州総督に任じられ、当地で死亡したと思われる。タキトゥスやスエトニウスらと親交があり、文筆活動も行った。現存する著作としては、100年のコンスル(執政官)就任に際してのトラヤヌス帝への『頌詞(しょうし)』Panegyricus、および『書簡集』Epistulae(10巻)があり、とくに後者は、ウェスウィウス(ベスビオ)火山の大噴火の模様と叔父の死に関する手紙や総督在任中のキリスト教徒に対する処置など、貴重な報告を多く含み、当時のローマ社会を知るうえできわめて重要な史料である。
[島 創平]
『『プリニウス書簡集』(講談社学術文庫)』
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