プラズマジェット

化学辞典 第2版 「プラズマジェット」の解説

プラズマジェット
プラズマジェット
plasma jet

気体放電で生じるプラズマを,工業面に利用したもの.普通のプラズマジェット発生装置は,細孔を設けた円板状の金属を一つの電極とし,タングステンなどの棒状金属を他の極として両極間にアーク放電を起こし,アークの周囲に外部から冷却用の高圧ガス(不活性ガス)を送り込む形式である.アークの周囲は冷却されるため,表面の電気伝導性が減少し,中央部に電流が集中する(熱ピンチ効果)結果,普通の放電に比べてはるかに細く,かつ高温(1×104~2×104 K)なプラズマが高速度で噴出する.これを利用し,厚い金属板や棒の高速度切断耐熱,耐酸化,耐摩耗性の物質の材料表面への溶射コーティング,および金属材料表面の各種熱処理などが行われている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プラズマジェット」の意味・わかりやすい解説

プラズマジェット
plasma jet

気体放電のプラズマを陽極板にあけた小穴から噴出させ,高温高速の集中性のよい流れにしたもの。普通のガスの炎は 3000Kぐらいであるが,電気溶接に用いるアークは 6000Kにも達する。そこでアークのまわりをガスが流れるようにすると,外側が冷却されて電流は中央部に集中する (熱的ピンチ) 。電流が大きくなるとみずからの磁場によってさらに細くなる (磁気的ピンチ) 。こうして数万度の安定な高温プラズマ流が得られ,融点の高い金属の溶接や切断 (溶断) ,高温を応用した新しい化学反応の開発に利用される。耐火煉瓦コンクリートなどの非金属材料の加工にも利用でき,水中での作業も可能である。

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世界大百科事典(旧版)内のプラズマジェットの言及

【ピンチ効果】より

…これは,外部からの冷却作用に打ち勝って放電を維持しようとするための熱的効果であることから,熱ピンチと呼ばれている。熱ピンチを応用した装置にプラズマジェットがある。これは,同軸型電極間に放電を起こさせ,それと同時に電極間に軸方向の高速気流を通して出口部において放電電流を熱ピンチさせ1万~2万Kという高温を得ようとする装置で,金属材料の溶接とか溶断に用いられる。…

【プラズマ】より

…なかでも放電プラズマを用いた酸化皮膜の生成とか,アモルファス・シリコン太陽電池の製造は,工業ベースに乗っている。(5)プラズマ・ジェット 大気中のアーク放電プラズマは強力な熱源として金属工業その他の方面でアーク炉,アーク溶接などに広く実用されている。このエネルギー集中度を大きくして高温を得るためにくふうされたのがプラズマ・ジェットである。…

※「プラズマジェット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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