ブーテナント(読み)ぶーてなんと(英語表記)Adolf Friedrich Johann Butenandt

精選版 日本国語大辞典 「ブーテナント」の意味・読み・例文・類語

ブーテナント

(Adolf Friedrich Johann Butenandt アドルフ=フリードリヒ=ヨハン━) ドイツの生化学者。性ホルモン研究を行ない、女性ホルモン一種黄体ホルモンプロゲステロンなどの抽出固定をした。一九三九年、ノーベル化学賞受賞。(一九〇三‐九五

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「ブーテナント」の意味・読み・例文・類語

ブーテナント(Adolf Friedrich Johann Butenandt)

[1903~1995]ドイツの生化学者。女性ホルモンのエストロン男性ホルモンアンドロステロン結晶単離、黄体ホルモンのプロゲステロン結晶化などに成功。1939年、ルジチカとともにノーベル化学賞受賞。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブーテナント」の意味・わかりやすい解説

ブーテナント
ぶーてなんと
Adolf Friedrich Johann Butenandt
(1903―1995)

ドイツの生化学者。ブレーマーハーフェンに生まれる。マールブルク大学ゲッティンゲン大学に学び、のちダンツィヒ、チュービンゲンミュンヘン各大学の教授を歴任、1953年からミュンヘンのマックス・プランク生化学研究所長。1961年以降マックス・プランク奨学財団総裁として旧西ドイツの科学の発展に寄与した。1929年に女性ホルモンのエストロンを妊婦の尿から単離し結晶化した。その2年後、男性ホルモンのアンドロステロンを精製、また女性の妊娠に重要なホルモンであるプロゲステロンを単離した。またこれらのホルモンの化学構造を明らかにし、ステロイドからの部分合成に成功した。このほか、昆虫の目の色素遺伝生化学、マメ科植物の毒性物質、カイコの性誘引物質などの精製や化学構造の決定など、さらに癌(がん)やウイルスの生化学的研究を行った。1939年に性ホルモンの研究でノーベル化学賞を授与されることになったが、ナチス政府のため辞退させられ、1949年に受賞した。

[宇佐美正一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブーテナント」の意味・わかりやすい解説

ブーテナント
Butenandt, Adolf Friedrich Johann

[生]1903.3.24. ブレーマーハーフェン
[没]1995.1.18. ミュンヘン
ドイツの生化学者。ゲッティンゲン大学で A.ウィンダウスに師事 (1927~30) 。ダンチヒ工科大学教授 (33) ,カイザー・ウィルヘルム研究所生化学部門主任 (36) ,テュービンゲン大学教授 (44) ,ミュンヘン大学教授 (56) ,マックス・プランク研究所所長 (60~72) 。性ホルモンであるエストロン (29) ,アンドロステロンおよびデヒドロアンドロステロン (31) ,プロゲステロン (34) などの結晶を単離し,化学構造を決定した。これらの業績に対し,1939年 L.S.ルジチカとともにノーベル化学賞候補に推されたが,当時のナチス政府が受賞を禁じたため辞退し,第2次世界大戦後受賞した (49) 。その後,54年に昆虫の脱皮・変態ホルモンであるエクジソン,59年に性誘引物質ボンビコールの単離に成功した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android