日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ブント(Max Wundt)
ぶんと
Max Wundt
(1879―1963)
ドイツの哲学者で、W・ブントの子。ライプツィヒに生まれる。哲学と古典文献学を修め、イエナ大学教授、のちチュービンゲン大学教授。ドイツ観念論の系統に属し、その立場からのドイツ哲学構築を考え、『ドイツ哲学とその運命』(1920)などを著した。しかし彼の名を高めたのは、それまでカントを形而上(けいじじょう)学の否定者としてとらえるのが通念であったのに対して、彼を積極的に形而上学者として解釈し、カントにおいてドイツ形而上学の新しい局面の展開をみた点で、『形而上学者としてのカント』(1924)はその意味で著名である。また、哲学史家としても『ギリシア倫理学史』2巻(1908、1911)や『啓蒙(けいもう)時代のドイツ学校哲学』(1945)などを著した。
[武村泰男 2015年4月17日]
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