日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ブロック(Felix Bloch)
ぶろっく
Felix Bloch
(1905―1983)
アメリカの理論物理学者。スイスのチューリヒに生まれる。チューリヒ工科大学、ついでライプツィヒ大学に学ぶ。ハイゼンベルクの指導を受け、量子論の立場から金属電気伝導の機構を解明、また強磁性体の理論を提出するなど固体量子論の形成に寄与した。周期的ポテンシャルをもつ場での波動関数に関するブロックの定理は有名である。1933年ヒトラー政権下のドイツを去り、アメリカに渡りスタンフォード大学教授となり、1939年帰化した。第二次世界大戦中は、初めロス・アラモスの原子爆弾開発(マンハッタン計画)に参加、のちハーバード大学でレーダー対策の研究に従事し、ここで最新のエレクトロニクスに精通した。これが戦前彼が行った中性子の磁気モーメントの直接測定と結び付いて、核磁気モーメントの研究に新しい手掛りを与えることになった。1946年パーセルらとは独立に、磁気共鳴吸収を利用して原子核の磁気モーメントの精密測定法を考案し、パーセルとともに1952年ノーベル物理学賞を受けた。
[常盤野和男]
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