ブロア(英語表記)Blois

デジタル大辞泉 「ブロア」の意味・読み・例文・類語

ブロア(Blois)

フランス中部、ロアール‐エ‐シェル県の都市。同県の県都。ロアール川沿いに位置する。ルイ12世からアンリ4世まで1世紀にわたりフランス王が居住したブロア城がある。ロアール川流域の古城をめぐる観光拠点として知られる。ブロワ

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改訂新版 世界大百科事典 「ブロア」の意味・わかりやすい解説

ブロア
Blois

フランス中部,ロアール・エ・シェール県の県都。人口5万2000(1990)。パリの南西約177km,ロアール川右岸の高台にそびえる。ブロア城を中心に発達した城下町で,この地方の行政,商業,観光の中心である。現存するブロア城の最古の部分は13世紀に造営された三部会室とフォア櫓である。その周辺に,ゴシック様式からルネサンス様式への過渡期のルイ12世翼棟(1498-1503)とサン・カレ礼拝堂(1498-1503),ルネサンス様式のフランソア1世翼棟(1515-24),古典主義様式のガストン・ドルレアン翼棟(1635-38)などが隣接して建てられており,中世から近世までの建築史博物館の様相を呈している。宮廷が置かれていたことのある城内では,フランソア1世翼棟の2階のカトリーヌ・ド・メディシスの隠し戸棚や,3階のギュイーズ公暗殺の場などがとくに名高い。その他市中にはサン・ニコラ教会やアリュイ館など古い建物が残る。おもな産業にはチョコレート,機械,電気機器の製造,印刷がある。
執筆者:

ブロア
Léon Bloy
生没年:1846-1917

フランスの作家。エルネスト・エロの感化で激越なカトリシスムを標榜評論《こわし屋の言葉》(1884),自伝的小説《絶望した男》(1886)により,末期的症状を呈していた自然主義と同時代の凡庸な聖職者たちを痛罵キリスト受難を歴史の中心にすえる苦悩観は第2の長編小説《貧しい女》(1897)にも引き継がれる。聖霊による第三の統治を説いて異端臭いを放つ《ユダヤ人による救い》(1892),ユイスマンスブールジェを批判した《教会の最後の柱》(1903),ナポレオンを聖霊になぞらえた《ナポレオンの魂》(1912)などのほかに,《恩知らずの乞食》(1898),《絶対の巡礼者》(1914)などの表題をもつ日記8巻がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブロア」の意味・わかりやすい解説

ブロア
Blois

フランス中部,ロアールエシェール県の県都。ロアール川中流右岸,オルレアンの南西約 56kmに位置する。6世紀に初めて記録に現れ,中世初期にはのちのカペー王家の先祖であるブロア伯家領となった。 14世紀の終りにオルレアン公ルイが取得。 1429年ジャンヌ・ダルクはここからオルレアン攻略の兵を進めた。 98年オルレアン公ルイの孫が国王ルイ 12世となり,市は以後 16世紀末までフランス第2の首都と呼ばれるほどの繁栄を示した。 13世紀に構築された城は,1588年に招集された全国三部会でアンリ・ド・ギーズ公がアンリ3世の命によって暗殺されたところ。 16世紀までのたびたびの増築などにより王の居館にふさわしい美しさと威容をそなえている。市にはほかにルネサンス時代などの古い建築物が多く,町並みも美しく,ロアール河谷の古城めぐり観光の中心地の一つとなっている。トウモロコシ,アスパラガス,ワインなどの集散地で,チョコレート,靴,衣類,タペストリー,機械などの工業が立地。人口5万 549 (1990) 。

ブロア
Bloy, Léon

[生]1846.7.11. ドルドーニュ,ペリグー
[没]1927.11.3. パリ
フランスの小説家,ジャーナリスト。貧しい少年時代をおくり,若くしてパリに出る。バルベー・ドールビイの秘書を経てジャーナリストとなり,『こわし屋の言葉』 Propos d'un entrepreneur de démolitions (1884) で文名をあげた。小説『絶望者』 Le Désespéré (86) ,『貧しい女』 La Femme pauvre (97) ,『貧者の血』 Le Sang du pauvre (1901) などのほか,数巻の日記がある。

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