ブレーデロー(英語表記)Gerbrand Adriaenszoon Bredero

改訂新版 世界大百科事典 「ブレーデロー」の意味・わかりやすい解説

ブレーデロー
Gerbrand Adriaenszoon Bredero
生没年:1585-1618

オランダ詩人喜劇作家。裕福な靴屋の子としてアムステルダムに生まれ,はじめ画家を志したが,やがて文学に転じた。多情多感で再三の恋愛にやぶれ,33歳の若さで没したが,17世紀オランダ文壇の異才として不滅の名を残した。27歳のころから《牝牛》(1612),《粉屋》(1613)などの笑劇を書き,ついで喜劇《ムーア人》(1615),スペインの〈悪者小説〉からモティーフを得て,同時代の商業都市アムステルダムの庶民生活の断面を鮮やかに描いた傑作《スペイン系ブラバント人》(1617)を書いて喜劇作家として名声を得た。初期の滑稽詩や恋愛詩,宗教詩は,死後《G.A.ブレーデローの大歌集》(1622)におさめられた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のブレーデローの言及

【オランダ文学】より

…16世紀半ばに始まるスペインの専制支配に抵抗して独立を達成したオランダは,17世紀に入ると,ヨーロッパの最先進国としていわゆる〈黄金時代〉を迎え,学術・文芸が一時に開花して大詩人,劇作家が輩出した。田園詩劇《フラニーダ》(1605)や独立戦争の記録《オランダ史》(1642‐54)を書いたホーフト,喜劇《スペイン系ブラバント人》(1617)のブレーデロー,抒情詩《ハーグの森》(1621)のハイヘンスConstantijn Huygens(1596‐1687),詩劇《ルシフェル》(1654)や《追放されたアダム》(1664)のフォンデルなどがそれである。また,聖書のオランダ語国定訳(1637)が標準文章語の形成に与えた影響も特筆に値する。…

※「ブレーデロー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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