日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブリヤ・サバラン」の意味・わかりやすい解説
ブリヤ・サバラン
ぶりやさばらん
Anthelme Brillat-Savarin
(1755―1826)
フランスの食通、名著『味覚の生理学』の著者。法官、弁護士を職とする家系の出で、自らも故郷ベレで弁護士を開業、1789年に革命が起こると選ばれてベルサイユの憲法議会に送られた。のち民事裁判所所長・大審院判事を歴任し、またベレ市長にも選ばれたが、中正な自由主義者は革命政府によって処刑されそうになったため、ドイツ、スイスを経てアメリカに亡命。ケルンでは料理屋の手伝い、ニューヨークではフランス語教師、オーケストラのバイオリン弾きをして糊口(ここう)をしのいだ。96年帰国、やがて県裁判所判事を経て大審院判事に復職、高級官吏として悠々たる晩年を送った。終生独身であった。『味覚の生理学』(邦訳『美味礼讃(びみらいさん)』)は副題を「超絶的美味学(ガストロノミー)の瞑想(めいそう)」といい、晩年の判事時代の著作で、死の前年に刊行された。フランス料理における法典ともいうべき書で、サバランの出現によって従来のフランス料理はさらに洗練されたものとなった。
[小林文子]
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