ブランド(英語表記)brand

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精選版 日本国語大辞典 「ブランド」の意味・読み・例文・類語

ブランド

〘名〙 (brand) 商標。銘柄。「一流ブランド」「ブランド品」 〔万国新語大辞典(1935)〕
※なんとなく、クリスタル(1981)〈田中康夫〉「ブランドが、ひとつのアイデンティティーを示すことは、どこの世界でも同じなのだから」

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デジタル大辞泉 「ブランド」の意味・読み・例文・類語

ブランド(brand)

銘柄。商標。特に高級品として有名な商品と、その商標。「デザイナーズブランド」「ブランド品」
[類語]商標登録商標トレードマーク銘柄サービスマーク

ブランド(Marlon Brando)

[1924~2004]米国の俳優。スタニスラフスキーシステムの演技を学び、T=ウィリアムズ原作、E=カザン演出の舞台「欲望という名の電車」で成功を収める。同作品の映画化で映画界にも進出。「波止場」「ゴッドファーザー」「地獄の黙示録」など、数多くのヒット作に出演した。

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改訂新版 世界大百科事典 「ブランド」の意味・わかりやすい解説

ブランド
brand

ブランドとは,特定の売手の製品およびサービスを識別するのに用いられる名称,記号,デザインなどを総称したものである。それらのうちで,言葉で表現できるものをブランド名といい,言葉で表現できない記号,デザイン,レタリングなどをブランド・マークという。また,ブランド名,ブランド・マークのうちで,その排他的使用が法的に保証されているものは,商標(トレード・マーク)と呼ばれている。ブランドは,それがメーカー(製造業者)に属するか,流通業者に属するかによって,メーカー・ブランドとプライベート・ブランドprivate brand(PBともいう)に分けられる。前者は,メーカーが自社の製品に対して使用するものであるのに対し,後者は,大型小売店,問屋などの流通業者がみずからが販売する製品に対して使用するものである。PB商品(プライベート・ブランドの商品)の多くは,それらの流通業者の企画のもとにメーカーに委託生産されるものであり,品質のわりに価格が安いのが特徴とされている。とくに大型小売店によるプライベート・ブランドは,ストア・ブランドとも呼ばれているが,その一つの変型として,近年注目されているものにノー・ブランド商品がある。これは,包装を極端に簡素化し,商品の基本的機能は維持しながら,さらに低い価格を設定したもので,ブランド・ネームをいっさい使用しないことから,そのように呼ばれている。ブランドはまた,その地域的広がりによって,全国を市場とするナショナル・ブランドと,一地域内でのみ売られるリージョナル・ブランドもしくはローカル・ブランドに分けられる。通常,主要なメーカー・ブランドはナショナル・ブランドであるので,メーカー・ブランドの代りにナショナル・ブランドという表現が用いられることがある。

 企業が自社の製品にブランドを付与するのは,それを競争相手の製品から明確に区別するためであるが,それは,消費者のブランド・ロイヤルティbrand loyaltyの存在と無関係ではない。ブランド・ロイヤルティは,ブランド選択において,消費者がある特定のブランドに対してもつ好意的な態度,および,それに基づくそのブランドの反復的購買を指し,購買頻度が高く,その品質が事前に確認できないような製品ほど,それが生ずる傾向が高いとされている。その要因としては,ブランド・イメージと消費者の好みの一致,消費者の危険回避的態度および習慣形成的性向などをあげることができる。一般に,みずからのブランドに対するロイヤルティが高い市場では,そのブランドと関連ある新製品を導入するさいに,同一のブランドを用いるのが合理的である。そうすることにより,すでに確立されているそのブランドの知名度を,新製品についても利用することができるだけでなく,各製品の販売促進活動が,一つのブランドのもとで相乗効果を上げることが期待できるからである。このように,複数の製品に対し同一のブランドを使用しようという方策は,ファミリー・ブランド政策として知られている。これに対して,個々の製品に異なるブランドを使用するものをマルチ・ブランド政策という。これは,消費者のブランド間遷移の激しい市場でとくに有効である。そこでは,類似した製品をいくつかの異なるブランドのもとで販売することにより,しばしば全体として大きなマーケット・シェアを獲得することができる。また,マルチ・ブランド政策は,同一の製品で相異なる消費者層をターゲットとする場合,および,高級イメージをもつ製品ラインとより安い製品ラインを,同時に市場に提供しようとする場合などにも,しばしば適用されている。乗用車における双子車,三つ子車は前者の場合の代表例であり,後者の例としては,オーディオ機器,時計などにおけるブランド政策をあげることができる。
執筆者:

ブランド
Marlon Brando
生没年:1924-2004

アメリカの映画俳優。〈ハリウッドの反逆児〉として映画スターの社会的地位を変革したといわれる。ネブラスカ州オマハ生れ。陸軍士官学校から放校処分を受けたのち,ニューヨークの〈ドラマティック・ワークショップ〉に学び,女優であり演出家であったステラ・アドラーからスタニスラフスキーの演技論と技術を学ぶ。1944年,《ママの想い出》でブロードウェーにデビューし,47年エリア・カザンElia Kazan(1909-2003)演出の《欲望という名の電車》(1951年に同監督により映画化)で一躍スターとなり,〈スタニスラフスキー・メソッド〉とよばれる演技スタイルが流行するきっかけをつくり,〈アクターズ・スチュディオ〉のメンバーとなった。フレッド・ジンネマン監督《男たち》(1950)で映画にデビューし,《欲望という名の電車》,《革命児サパタ》(1952),《ジュリアス・シーザー》(1953)と3年つづけてアカデミー主演男優賞にノミネートされ,4年目の《波止場》(1954)でオスカーとニューヨーク映画批評家賞を受賞,〈メソッド・アクター〉としては最初の映画スターとなった。アンチ・ハリウッド,あるいは反体制的なその言動が〈反社会的脅威〉ともいわれたが,ビート・ジェネレーションにとっては〈反逆的ヒーロー〉となり,カリスマ的存在となった。そのシンボルとなった作品がオートバイの皮ジャン族を描いたラズロ・ベネディク監督《乱暴(あばれ)者》(1954)である。

 59年,母のミドルネームをとって名づけた〈ペンベーカー・プロダクションズ〉を設立して《片目のジャック》(1961)を製作,監督,主演し,600万ドルと100万フィートを超えるフィルムを費やして4時間42分の作品に仕上げ(パラマウントは半分の2時間21分に編集し直した),スターの思いあがりを指摘された。さらに大きな赤字を招いた《戦艦バウンティ》(1962)におけるわがまま放題の出演で業界の不評を買った。63年,20万人が参加した人種差別反対ワシントン大行進を積極的に支持。その後,作品にも恵まれず〈過去の人〉となりかけたとき,記録的にヒットした《ゴッドファーザー》(1972)で再度アカデミー主演男優賞に選ばれたが,アカデミー協会のインディアンに対する不当な取扱いに抗議して受賞を拒否。その後,《ラストタンゴ・イン・パリ》(1972)や《地獄の黙示録》(1979)などの話題作に出演する一方で,少数民族や公害問題に傾ける情熱が伝えられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブランド」の意味・わかりやすい解説

ブランド
ぶらんど
Marlon Brando
(1924―2004)

アメリカの映画俳優。ネブラスカ州オマハ生まれ。幼いころから反抗的で、陸軍士官学校を退学になる。役になりきるスタニスラフスキー・システム演技を学んでブロードウェーでE・カザン演出の『欲望という名の電車』(1948)で成功、カザンによる映画化(1951)に主演、『革命児サパタ』(1952)、『ジュリアス・シーザー』(1953)、『乱暴者(あばれもの)』(1954)などで異様な性的魅力を放ち、強烈な演技で人気スターになった。『波止場』(1954)でアカデミー主演男優賞を受け、『片目のジャック』(1961)では監督兼業に進出、やがて反体制的な態度をとるようになり、『ゴッドファーザー』(1972)ではアカデミー主演男優賞を拒否した。TVミニシリーズ『ルーツ2』(1979)のエミー助演男優賞は受け取った。ハリウッドでも最高のギャラをとり、『ラストタンゴ・イン・パリ』(1972)、『地獄の黙示録』(1979)、『白く渇いた季節』(1989)、『D.N.A』(1996)などに出演した。タヒチ諸島の小島に住んで自然食の研究をしていたこともある。

[日野康一]

『日野康一著『マーロン・ブランド 執念と反逆のスーパースター』(1988・芳賀書店)』『マーロン・ブランド他著、内藤誠・雨海弘美訳『母が教えてくれた歌――マーロン・ブランド自伝』(1995・角川書店)』

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百科事典マイペディア 「ブランド」の意味・わかりやすい解説

ブランド

アメリカの映画俳優。ネブラスカ州生れ。父親に強制的に入学させられた陸軍士官学校を中退。1950年に映画初出演。1954年のエリア・カザン監督《波止場》でアカデミー賞主演男優賞を受賞した。1960年代には監督との対立や演技が評価されないこともあって低迷。1972年のフランシス・フォード・コッポラ監督《ゴッドファーザー》のドン・コルレオーネ役で再びアカデミー賞主演男優賞に選ばれたが,アメリカ映画界の先住民族(特にインディアン)差別を理由に受賞を拒否した。その強烈な個性から生み出される演技は独特のもので,〈20世紀最高の俳優〉と称された。その他のおもな出演映画は《欲望という名の電車》《革命児サパタ》《ジュリアス・シーザー》《ラストタンゴ・イン・パリ》《地獄の黙示録》《白く渇いた季節》《スコア》など多数。→アメリカ・インディアン

ブランド

商標,銘柄。通常,自社の商品・サービスと他社のそれとの差別化を図る目的で使用される。消費者にとっては,商品やサービスの質を判断する際の指標となり,また,質とは関係なくそのブランドの商品を持っていると格好が良いという〈ブランドの一人歩き〉現象も多く起こっている。最近では,メーカー・ブランド(ナショナル・ブランド)に代って,百貨店やスーパー等の流通業者によるプライベート・ブランド(PB)が急増中である。→ブランド資産評価

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知恵蔵 「ブランド」の解説

ブランド

自社製品を他社製品と区別させることを意図して設計された名称、言葉、シンボル、デザイン、もしくはそれらの組み合わせ。商標(トレード・マーク)と呼ばれることもあるが、それが法的な用語であるのに対し、ブランドは一般的な用語。今日では、消費者に対し製品・サービスの出所表示や品質保証などを与えるだけでなく、場合によっては製品属性や機能を超えたステータス等の象徴的な価値も提供している。「花王」が企業ブランド(corporate brand)で、同社の衣料用洗剤である「アタック」が製品ブランド(product brand)という具合に、ブランドが階層構造をもつ場合もある。また、同一製品カテゴリー内に複数のブランドを展開するマルチブランド戦略が採用されることも多い。一方、全国的有名メーカーの製品ブランドは、ナショナルブランド(NB:national brand)、大手の卸や小売企業によって開発された自社ブランドはプライベート・ブランドと呼ばれる。

(高橋郁夫 慶應義塾大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブランド」の意味・わかりやすい解説

ブランド
Brand, John

[生]1744.8.19. イギリス,ダラム,ワシントン
[没]1806.9.11. イギリス,ロンドン
イギリスの尚古学者,地誌学者。 1773~84年ニューカッスルアポンタインで聖職につく一方,尚古協会の会員となる。 84年ノーサンバーランド公爵の好意でロンドンの教区の司祭となり,また尚古協会の幹事となって研究に打込んだ。 86年公爵の個人礼拝堂付きの牧師。主著『ニューカッスルアポンタインの歴史と古物』 The History and Antiquities of Newcastleupon-Tyne (2巻,1789) 。

ブランド
Bland, Richard Parks

[生]1835.8.19. ケンタッキー,ハートフォード
[没]1899.6.15. ミズーリ,レバノン
アメリカの政治家,「自由銀」運動の指導者。ミズーリ州出身の民主党連邦下院議員 (1872~95,97~99) 。連邦下院の鉱山業委員会委員長 (75~77) として,インフレを要求する農民,労働者と金銀複本位制を要求する西部の銀鉱山業者を合流させて銀貨鋳造運動を指導。 1878年ブランド=アリソン法案を作成,通過させた。独占,保護関税,海外領土獲得に強く反対した。

ブランド
Brando, Marlon

[生]1924.4.3. ネブラスカ,オマハ
[没]2004.7.1. カリフォルニア,ロサンゼルス
アメリカの舞台・映画俳優。 1944年ブロードウェーで初舞台。 1948年『欲望という名の電車』のスタンリー役で成功。 1950年以後『革命児サパタ』 (1952) ,『蛇皮の服を着た男』 (1959) ,『片目のジャック』 (1960,兼監督) ,『地獄の黙示録』 (1979) など多くの映画に主演。『波止場』 (1954) ,『ゴッドファーザー』 (1971) でアカデミー主演男優賞を受賞した。

ブランド
brand

銘もしくは銘柄のこと。かつては焼き印 (ブランド) などを利用して自社製品の表示を行なっていたため,その名があるという。しかし,今日では特定企業の特定の商品なりサービスなりを示す名称やマークをいうようになった。したがって各企業は,それぞれ独自のブランド政策を考え,商品群の特性によって,ファミリーブランドやインディビジュアルブランドを適宜使い分け,消費者に対しては,自社製品のブランドロイヤリティを高めるとともに,他社製品からのブランドスイッチを促すような PR活動を行なっている。

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マーケティング用語集 「ブランド」の解説

ブランド

製品やサービスまたはそれを提供する企業を区別するための名称や記号、デザイン、メッセージなど。またはその組み合わせのこと。
ブランドは、消費者にとっては、自分に価値ある製品やサービスを識別させてくれるもの、(=常に同質のベネフィットがもたらされる)そして、企業にとっては、製品固有の特徴を法的に保護するもの、(=他社との差別化と競争力をもたらす)と考えることができます。
つまり、ブランドは企業が製品やサービスを市場に提供し続けてゆくためになくてはならない基本的要素といえます。
ブランドにどれだけ強い価値を付加することができるかが重要です。

出典 (株)マインズマーケティング用語集について 情報

流通用語辞典 「ブランド」の解説

ブランド【brand】

商標ともいい、企業が販売または提供する商品やサービスについて、他企業や競争相手と区別するために使用する名前、象徴、デザインなどをいう。購買行動において、ブランドは商品の信頼性や品質を保証するものとして、大きな選択要因となっている。ブランドには全国的に販売ネットワークをもっている大規模メーカーのナショナル・ブランドと、小売業などの流通業者がつけるプライベート・ブランドおよび、ファッション商品を中心としたデザイナーズ・ブランドがある。ブランドをつけないノーブランド商品というコンセプトもある。

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ブランド用語集 「ブランド」の解説

ブランド

ブランドとは製品につける名前、ないしは名前がついた製品そのものをいう。転じて他と区別できる特徴を持ち価値の高い製品のことを指す場合がある。

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世界大百科事典(旧版)内のブランドの言及

【スター】より

… 70年代になって,バーブラ・ストライサンド,ロバート・レッドフォードなど数少ないスターが興行成績を保証するといわれたが,《アメリカン・グラフィティ》(1973),《エクソシスト》(1973),《ジョーズ》(1975),《スター・ウォーズ》(1977)などはスターなしで記録的に成功し,ボストン・ファースト・ナショナル・バンクの副社長は,観客をよびよせるのはスターではないと断言した。しかし,それでもなお,ハリウッドの代表的なスターであったジョン・ウェインは,いまなお崇拝者をもっているといわれ,また1本の出演料200万ドルのチャールズ・ブロンソン,《スーパーマン》(1978)に10日間ゲスト出演して225万ドルを得たマーロン・ブランドのような〈スーパースター〉もいる。とはいえ,スターは大衆によってつくられるものであり,かつてサミュエル・ゴールドウィンは,〈スターはプロデューサーではなく神がつくるものであり,大衆は神のつくったものを認めるのである〉といったが,現在のスターは,華麗な生活の代償としてプライバシーと自由を犠牲にして商業主義に奉仕したかつてのスターと異なって,たとえばクリント・イーストウッドのように自分のプロダクションをつくり,あるいはプロデューサーを兼ね,さらには監督を兼ねるのが一つの風潮になっている。…

※「ブランド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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