ブラナー(読み)ぶらなー(英語表記)Kenneth Branagh

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラナー」の意味・わかりやすい解説

ブラナー
Branagh, Sir Kenneth

[生]1960.12.10. ベルファスト
イギリスの俳優,映画監督,脚本家。フルネーム Sir Kenneth Charles Branagh。ウィリアム・シェークスピア作品を多数演じ,監督したことで知られる。9歳のときに北アイルランドからロンドンに家族と移り住み,1981年にロイヤル演劇アカデミーを卒業後すぐに舞台デビューした。1984年ロイヤル・シェークスピア劇団(→ロイヤル・シェークスピア劇場)に参加し,『ハムレットHamletなどで称賛を得る。1987年に劇団を離れ,ルネサンス・シアター・カンパニーを設立し,俳優,脚本,演出をこなした。1989年,映画『ヘンリー5世』Henry Vでアカデミー賞監督賞と主演男優賞にノミネートされた。シェークスピア作品はほかにも『世にも憂鬱なハムレットたち』In the Bleak Midwinter(1995),『から騒ぎ』Much Ado About Nothing(1993),『ハムレット』(1996),『恋の骨折り損』Love's Labour's Lost(1999)で監督や出演をした。1995年には映画『オセロ』Othelloでイアーゴーを演じ,2006年には『お気に召すまま』As You Like Itを監督。1980年代からテレビドラマの出演も多い。『ハリー・ポッターと秘密の部屋』Harry Potter and the Chamber of Secrets(2002)などで脇役として登場。『マリリン 7日間の恋』My Week with Marilyn(2011)ではローレンス・オリビエを演じ,アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。2012年,ナイトに叙された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラナー」の意味・わかりやすい解説

ブラナー
ぶらなー
Kenneth Branagh
(1960― )

1990年代の英米における演劇・映画界で輝かしい業績をあげて国際的に注目を集めた俳優、演出家。北アイルランドのベルファストで生まれ、演劇を志して19歳で名門の王立演劇学院(RADA)に入学し、『ハムレット』の演技で最優秀生となった。1982年には『アナザー・カントリー』でプロ俳優としてデビュー、ウェスト・エンド劇場協会新人賞などを受賞した。1984年にはロイヤル・シェークスピア・カンパニー(RSC)に参加し、『ヘンリー五世』にこの劇団史上最年少の23歳で主演、1988年には劇団ルネサンス・シアター・カンパニーを設立して、『ハムレット』を含む多くのシェークスピア劇に主演して、イギリスを代表する俳優の一人となった。1989年には映画『ヘンリー五世』の監督、脚本、主演で映画界に進出、アカデミー主演男優賞と監督賞にノミネートされた。1993年にはシェークスピア喜劇『から騒ぎ』の初映画化にも成功し、その勢いで『ハムレット』を原作のままカットなしで映画化するという史上初の大偉業も成就した。自伝には1989年の『私のはじまり』Beginningがある。

[荒井良雄]

資料 監督作品一覧

ヘンリー五世 Henry Ⅴ(1989)
愛と死の間で Dead Again(1991)
ピーターズ・フレンズ Peter's Friends(1992)
から騒ぎ Much Ado About Nothing(1993)
フランケンシュタイン Frankenstein(1994)
世にも憂鬱(ゆううつ)なハムレットたち In the Bleak Midwinter(1995)
ハムレット Hamlet(1996)
恋の骨折り損 Love's Labour's Lost(1999)
魔笛 The Magic Flute(2006)
スルース Sleuth(2007)
マイティ・ソー Thor(2011)

『喜志哲雄訳『私のはじまり』(1993・白水社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android