日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ブラッドリー(Francis Herbert Bradley)
ぶらっどりー
Francis Herbert Bradley
(1846―1924)
イギリス・ヘーゲル学派の哲学者。オックスフォード大学特別研究員。絶対的観念論を提唱し、時間、空間、自己などの日常的概念と物自体などの哲学的概念はいずれも実在の仮象を表す「自己矛盾的」な概念であるが、直接的経験または純粋感情に現れる絶対的超個人的経験を通じて、思惟(しい)における対立や矛盾を超えた高次の総合を達成することができると論じる。ミルの功利主義を批判し、ヘーゲルの人倫Sittlichkeitの概念を発展させて、自我実現説self-realizationを説く。また推論の基盤が「普遍」であることを強調し、伝統的論理学、帰納的論理学、経験論的論理学を批判した。主著は『仮象と実在』Appearance and Reality(1893)。
[宮下治子 2015年7月21日]
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