日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ブラウン(Michael Stuart Brown)
ぶらうん
Michael Stuart Brown
(1941― )
アメリカの遺伝学者。ニューヨーク市ブルックリンに生まれる。ペンシルベニア大学で化学を学び、1962年に卒業、同大学で1966年に医学博士号を取得した。同年ボストンのマサチューセッツ総合病院で内科のインターンとして勤務し、1968年にアメリカ国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)で遺伝病の臨床研究員となった。1971年テキサス大学サウスウェスタン医学校に移り、1974年同校の準教授となり、1976年教授に昇格、1977年遺伝学教授および遺伝病センター所長に就任した。
ともにコレステロールの研究を行ったJ・L・ゴールドステインとは、マサチューセッツ総合病院時代以来の長期間にわたる共同研究者であった。彼らは、生体内でコレステロールが生成される際の酵素の調整作用に注目し、とくに遺伝疾患である家族性高コレステロール血症について研究を進めた。そしてコレステロールの合成が、LDL(low-density lipoprotein、低比重リポタンパク)レセプターによって統御されているメカニズムを解明した。さらに、このメカニズムは遺伝子によってコントロールされ、遺伝子異常が家族性高コレステロール血症を引き起こすことも明らかにした。この業績によってブラウンは、ゴールドステインとともに1985年のノーベル医学生理学賞を受賞した。
[編集部]