日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ブッシュ(Adolf Busch)
ぶっしゅ
Adolf Busch
(1891―1952)
ドイツ出身のアメリカのバイオリン奏者。ケルンとボンでバイオリン、指揮、作曲を学ぶ。1919年ブッシュ弦楽四重奏団を結成、とりわけベートーベンの解釈で一時代を画し、20年代から30年代にかけて世界最高の四重奏団の名声をほしいままにした。27年スイスに移り、ブッシュ室内管弦楽団を組織して指揮活動も始める。39年アメリカに移住、マールボロ音楽祭を主宰して活躍。独奏者としてはルドルフ・ゼルキンと組み、バッハ、ベートーベン、シューベルト、ブラームスの作品を端然と格調高く演奏、渋い表現ながら高い境地を示し、ドイツの演奏の伝統保持者と目された。
[岩井宏之]