ブイシンスキー(英語表記)Vyshinskii, Andrei

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブイシンスキー」の意味・わかりやすい解説

ブイシンスキー
Vyshinskii, Andrei

[生]1883.12.10. ロシア,オデッサ
[没]1954.11.22. アメリカ合衆国,ニューヨーク,ニューヨーク
ソビエト連邦の法律家,外交官。1903年ロシア社会民主労働党(→ソ連共産党)の少数派,メンシェビキに所属し,1913年に法律家になる。1920年ロシア共産党に入党,1921年ボルシェビキ転身。モスクワ大学教授と検察官を兼務し,理論家として知られた。1928年教育人民委員会諮問委員に就任。1931年ロシア=ソビエト連邦の検察官,1933~35年ソビエト連邦検事総長代理,1935~39年検事総長を歴任し,1930年代の大粛清裁判で辣腕をふるった。ソビエト法理論をめぐる論争に指導的役割を演じ,法の階級性,法と国家の関連性を主張したが,今日,ブイシンスキーの理論は批判されている。1939年ソ連共産党中央委員会の一員となり,1940年代には外交問題を担当,1940年にラトビアの武力併合を主導,1945年ルーマニアの共産主義政権誕生を画策した(→ルーマニア史)。1947~54年国際連合首席代表,その間の 1949~53年外務大臣を兼務して,東ヨーロッパ諸国の引き締めを指導した。1954年の国連総会で,西側の主張を受け入れた 2段階からなる軍備縮小案を提出した。1953年ヨシフ・スターリン死後,副外相に降格されたが国連代表にとどまり,任地で急死した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android