フーコー(Jean Bernard Léon Foucault)(読み)ふーこー(英語表記)Jean Bernard Léon Foucault

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フーコー(Jean Bernard Léon Foucault)
ふーこー
Jean Bernard Léon Foucault
(1819―1868)

フランスの実験物理学者。パリ生まれ。生来、身体が弱く家庭教師について勉強。初め医者を目ざしたが断念し、フィゾーと知り合って物理学に向かった。機械工作の特技を生かし、科学雑誌に投稿し、自宅で物理学の実験研究を行う。1853年パリ天文台の物理学担当の職につき、1865年科学アカデミー会員。

 フィゾーとともに、太陽のダゲレオタイプ写真を初めて試みたほか、光の波動説と粒子説についての決定実験として、アラゴの提起した空気中と水中とでの光の速さの比較実験を行い、空気中のほうが速いという波動説を支持する結果を1851年に出した。同年からフィゾーとともに光速度測定を始め、その後ひとりで改良を行い、1862年には、回転鏡を使って秒速29.8万キロメートルという精確な値を出すことに成功した。これに関連して振り子に関心をもち、振動面の不変に着目して、振動面の見かけの回転が地球の自転の現れであることを証明した。1851年パリのパンテオンで67メートルの振り子でデモンストレーションを行った。ジャイロスコープ発明も知られる。

 天文学に関連しては、反射望遠鏡のためにガラス銀めっきの方法開発、これに関連して、レンズ反射鏡曲面をテストし、収差を補正するための方法である「ナイフ・エッジテスト」を考案したことも大きな功績である。そのほか、フーコーの渦(うず)電流の発見という業績もある。

[高田紀代志]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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