フリートレンダー(英語表記)Max Jacob Friedländer

改訂新版 世界大百科事典 「フリートレンダー」の意味・わかりやすい解説

フリートレンダー
Max Jacob Friedländer
生没年:1867-1958

ドイツの美術史家。ベルリンに生まれ,ミュンヘン,フィレンツェなどに学んだ後,ベルリンのカイザー・フリードリヒ美術館(現,ダーレム美術館)に入り,後に絵画部長。ブリューゲルなどの購入によってコレクションを充実させる。ユダヤ人であったためナチス台頭に伴い,1938年オランダ亡命。オランダ滞在中は著述に専念し,大著《初期ネーデルラント絵画》全14巻(1924-37)を完成。鑑定家としての彼はまれに見る直観力に恵まれた,いわゆる目ききのタイプで,作者ないし作品の様式的特徴を看破し,これを明晰で簡潔な文章で語ることにもすぐれる。とりわけフランドル,オランダ,ドイツの絵画史研究に大きな業績を残した。
執筆者:

フリートレンダー
David Friedländer
生没年:1750-1834

ドイツのユダヤ人啓蒙思想家。東プロイセンケーニヒスベルク(現,ロシア連邦のカリーニングラード出身。ベルリンに出て絹織物工場を営み,M.メンデルスゾーン友人となり,彼の提起したユダヤ人解放とドイツ市民社会への同化の道をよりいっそう推進した。1778年にユダヤ人の自由学校をつくり,また1809年にはユダヤ人として初めてベルリン市会議員となった。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フリートレンダー」の意味・わかりやすい解説

フリートレンダー
ふりーとれんだー
Max Jacob Friedländer
(1867―1958)

ドイツの美術史学者。ミュンヘン、ケルン、ベルリンなどの美術館で研究、のちベルリンの国立美術館館長を務め、元館長であったボーデWilhelm von Bode(1845―1929)とともにその発展に尽力した。晩年ナチスの時代にオランダのアムステルダム移住(1938以降)、同地で没した。とくに15、16世紀のネーデルラントおよびドイツの絵画を綿密に研究し、この分野での最高権威として認められている。また美術鑑定家としても第一人者であった。主著に『15、16世紀のネーデルラント絵画』(1903)、『ファン・アイクからブリューゲルまで』(1916)、『芸術と芸術批評』(1942)ほかがある。

[鹿島 享]

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百科事典マイペディア 「フリートレンダー」の意味・わかりやすい解説

フリートレンダー

ドイツの美術史家。ベルリン生れ。ベルリンのカイザー・フリードリヒ美術館(現,ダーレム美術館)絵画部長を務めたのち1938年アムステルダムに亡命。15―16世紀のネーデルラント絵画研究の権威。主著は《初期ネーデルラント絵画》14巻(1924年―1937年)など。

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世界大百科事典(旧版)内のフリートレンダーの言及

【鑑定】より

…モレリはまた鑑定においてはそれまでほとんど使われることのなかった写真の利用を最初に唱えた一人でもあった。一方,ドイツ人のボーデWilhelm von Bode(1845‐1929)やM.J.フリートレンダーは長年の経験による直観力を重視する,いわゆる〈目利き〉のタイプである。現代の鑑定はこれらの方法に加え,科学技術の長足の進歩を反映して,物理的・化学的方法をも多分にとり入れている。…

※「フリートレンダー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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