フリーデル(読み)ふりーでる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フリーデル」の意味・わかりやすい解説

フリーデル
ふりーでる
Charles Friedel
(1832―1899)

フランスの化学者、鉱物学者。ストラスブールで生まれる。ストラスブール大学パスツールらに学び、ソルボンヌ大学パリ大学)ではウュルツのもとで研究を行った。1856年に鉱山学校(エコール・デ・ミーヌ)の博物館学芸員、1876年に鉱物学教授に就任している。1884年ウュルツが他界したため、ソルボンヌ大学有機化学教授となり、以後終生この地位にあった。鉱物学者として、高温高圧下における結晶合成の研究を行い、後年、ウュルツの影響のもとに、ケトン、第二プロパノールなどの有機合成に手を染めているが、1877年アメリカ人化学者クラフツJames Mason Crafts(1839―1917)とともに、いわゆる「フリーデル‐クラフツ反応」を発見し、新たなアルキルベンゼン合成法を開拓したことは有名である。

[井山弘幸]

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化学辞典 第2版 「フリーデル」の解説

フリーデル
フリーデル
Friedel, Charles

フランスの有機化学者,鉱物学者.ストラスブール大学で学び,ソルボンヌ大学で同郷のC.A. Wurtz(ウルツ)について化学を学んだ.1856年にパリの鉱山学校で鉱物採集主事となり,1876年にはソルボンヌ大学で鉱物学教授となった.Wurtzの死後,1884年に同大学の有機化学教授となった.炭素とケイ素の類似性に着目し,有機ケイ素化合物を合成して原子価が4であることを証明した(1863年).1887年J.M. Crafts(クラフツ)と共同で,無水塩化アルミニウムを触媒として芳香族化合物アルキル化またはアシル化する反応(フリーデル-クラフツ反応)を発見した.この反応はきわめて有用な有機合成法として広く応用されている.また,グリセリンの合成,乳酸の研究,鉱物学方面では高温・高圧下における鉱物の人工製法の研究などの業績がある.アルザス人として,国際性,語学力,プロテスタント信仰,化学工業の重視,ドイツ文化への公平な態度,リベラルな政治思想などをもっていた.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フリーデル」の意味・わかりやすい解説

フリーデル
Friedel, Charles

[生]1832.3.12. ストラスブール
[没]1899.4.20. モントーバン
フランスの化学者,鉱物学者。パリ大学で C.ウュルツに学び,同大学鉱物学教授 (1876) ,有機化学主任教授 (84) 。人造宝石,結晶のピロ電気の研究がある。イソプロピルアルコール,グリセリン,乳酸を合成した。 1877年に J.クラフツと共同でフリーデル=クラフツ反応として知られる芳香族化合物の誘導体合成の方法を発見した。

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