フラー(Richard Buckminster Fuller)(読み)ふらー(英語表記)Richard Buckminster Fuller

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フラー(Richard Buckminster Fuller)
ふらー
Richard Buckminster Fuller
(1895―1983)

アメリカの建築構造デザイナー。マサチューセッツ州ミルトンに生まれる。ハーバード大学中退、海軍兵学校に学び、第一次世界大戦に従軍船舶・航空機に興味をもつ。同様な角度から工業生産を予測したメカニックな住宅を設計、1929年からそれらの仕事に「ダイマキシオンDymaxion」(ダイナミックであり、maximum efficiency――最大限の能率をもつ)なる造語をつけた。第二次大戦後は、合金合板、プラスチックなど規格化された三角形の部材でドームを形づくり、その下に可能な限り大きな空間を得る「ジオデシック・ドームGeodesic dome」の各種技法を展開、その名を世界的なものにした。これは住居から工場、展示場のほか、レジャー施設などに広く利用され、モントリオール万国博のアメリカ館(1967)にその頂点が示されている。彼はさらにこのドームを拡大して都市そのものを覆うような構想を発表するなど、現代工業社会に立脚し、そこから飛躍して将来の超建築の一つの姿を示して、その独創的発想で若い建築家に大きな影響を与えた。ロサンゼルスに没。

近江 栄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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