日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フランクリン(Aretha Franklin)
ふらんくりん
Aretha Franklin
(1942―2018)
アメリカのリズム・アンド・ブルース(R&B)、ソウル、ゴスペル歌手、ピアノ奏者。テネシー州メンフィス生まれ。父クラレンス・L・フランクリンClarence L. Franklin(1915―1984)はバプティスト派の有名な牧師。5歳のときに父親が教会を設立したデトロイトに移住。8歳から父にピアノを学ぶ。姉のアーマErma(1938―2002)、妹のキャロリンCarolyn(1946―1988)とともに教会でゴスペルを歌い、14歳で初録音。1960年ニューヨークに行き、名プロデューサーのジョン・ハモンドJohn Hammond(1910―1987)に認められてコロンビア・レコードと契約、同年秋に『今日ブルースを歌う』Today I Sing the Bluesがヒットする。ジャズやポップスも録音して数曲のヒット曲を出すが、1966年アトランティック・レコードに移籍してからR&B歌手としての実力を発揮、「クイーン・オブ・ソウル(ソウル・ミュージックの女王)」とよばれる大スターになった。
グラミー賞の受賞歴は、1967年度R&B録音賞と最優秀R&B女性歌唱賞を受賞したヒット曲『リスペクト』Respectから、ゴスペル・アルバム『ワン・ロード、ワン・フェイス、ワン・バプティズム』One Lord, One Faith, One Baptismでの1988年度最優秀ソウル・ゴスペル女性歌唱賞受賞まで計15回に上る。これは全分野を通じて女性アーティストのグラミー賞最多受賞記録である。映画『マルコムX』(1992)のサウンド・トラックで歌ったダニー・ハサウェイのカバー曲『いつの日か私たちはみんな自由になる』Someday We'll All Be Freeが評判になり、同サウンド・トラックは1993年度グラミー賞最優秀R&B女性歌唱賞にノミネートされた。一方、映画『ブルース・ブラザーズ』(1980)ではウェイトレス役を好演、続編の『ブルース・ブラザーズ2000』(1998)にも出演した。
[青木 啓]
『Aretha Franklin, David Ritz:Aretha;From These Roots(1999, Random House)』▽『Mark Bego:Aretha Franklin;The Queen of Soul(2001, Da Capo Press)』