日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フランク(James Franck)
ふらんく
James Franck
(1882―1964)
ドイツ生まれのアメリカの物理学者。ハイデルベルク大学、ベルリン大学で学んだのち、1906年ベルリン大学のE・ワールブルクのもとで学位を得た。1911年からベルリン大学で物理学を教えるかたわら、G・L・ヘルツと協力して種々の気体中での自由電子のふるまいを研究し、ボーア理論に実験的確証(フランク‐ヘルツの実験)を与えることに成功。「原子への電子衝突を支配する諸法則の発見」により、ヘルツとともに1925年のノーベル物理学賞を1926年に受けた。第一次世界大戦後、カイザー・ウィルヘルム研究所(現、マックス・プランク研究所)を経て、ゲッティンゲン大学実験物理学教授となり、気体や蒸気の蛍光の研究に携わった。しかし、1933年に、ナチスに対する抗議として同大学を辞職してアメリカに渡り、ジョンズ・ホプキンズ大学、シカゴ大学教授を務めた。第二次世界大戦中、シカゴ冶金(やきん)研究所化学部門主任として原爆製造(マンハッタン計画)に参加したが、1945年軍部の無警告原爆投下方針に反対するための委員会(フランク委員会)を組織し、彼の名で知られる報告書を提出したことは有名である。
[小林武信]
[参照項目] |
| | | | |