フラバノン

化学辞典 第2版 「フラバノン」の解説

フラバノン
フラバノン
flavanone

2,3-dihydroflavone.C15H12O2(224.26).フラボンの還元生成物.o-ヒドロキシベンザルアセトフェノンを,塩酸エタノールなどと煮沸すると生じる.無色の針状晶.融点75~76 ℃.λmax 250,320 nm(log ε 3.86,3.37).(R)-フラバノンは-64.4°(クロロホルム).植物体内での蓄積は少ないが,その誘導体はフラバノン類(フラボノイド中の一群)と総称され,マメ科,バラ科,ミカン科などの植物から得られている.天然に存在する誘導体としては,ヘスペレチンサクラネチンポリオール,エリオジクチオール,カテキン,ピノセンブリン,ピノストロビンなどがあり,またそれらの配糖体も存在する.また,とくに3-オキシフラバノンをフラバノノールC15H12O3と称する.[CAS 487-26-3]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「フラバノン」の解説

フラバノン

 多くの植物に配糖体として見いだされる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のフラバノンの言及

【カルコン】より

…たとえばブテイン(ダリアの黄色品種やキバナコスモスなどの花に配糖体として含まれる黄色色素)やカルタミン(ベニバナの花冠に含まれる紅色色素,日本では食紅としても用いられる)などの植物色素がある。その閉環異性体がフラバノンflavanoneで,フラボン,アントシアニンなどとともに,これら黄色色素化合物の総称としてフラボノイドflavonoidと呼ばれ,アセチルCoAを出発物質にして生ずるポリケチドpolyketideの一種である。ポリケチドとは,一般式R(CH2CO)nCO2Hで示されるβ‐ポリケト酸を経て生合成される物質の総称である。…

【色素】より

…(2)フラボノイドflavonoid C6-C3-C6の炭素骨格をもち,植物のほとんど全組織にひじょうに広く分布している黄色の色素。フラボン類,フラバノン類,アントクロール,アントシアン,カテキンなどがある。フラボンは紫外線からの保護作用などの生理作用をもつと考えられている。…

※「フラバノン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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