フライ(英語表記)Christopher Fry

精選版 日本国語大辞典 「フライ」の意味・読み・例文・類語

フライ

〘名〙 (fly)
① 野球で、打者が高く打ち上げたボール。〔新式ベースボール術(1898)〕
② 昆虫のハエ。〔外来語辞典(1914)〕
③ 欧米式の毛針。軸の長い釣針に、羽や毛・繊維などを付けて昆虫、小魚などに似せたもの。
※黒豹の鎮魂歌 第三部(1975)〈大藪春彦〉七ミリ・マグナム「擬餌鉤(フライ)で飾られたチロル帽」
④ テントの入り口の垂れ布。テントの防水用外張り布。

フライ

〘名〙 (fry) 鳥獣の肉・魚介・野菜などを油で揚げたもの。ころもにパン粉をつけたものをさすことが多い。
※落語・素人洋食(1891)〈三代目三遊亭円遊〉「カツレツは馬鈴薯(ぢゃがいも)を油でいためロースの宜い所をフライの油で能く揚るなり」

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デジタル大辞泉 「フライ」の意味・読み・例文・類語

フライ(fly)

野球で、高く上げた打球。飛球。
ハエ。また、飛ぶ昆虫。
欧米式の毛針。軸の長い釣り針に、羽や毛・繊維などをつけ、水生昆虫や小魚などに似せたもの。水面に浮くドライフライ、水中を漂うウエットフライ、水底付近を流れるニンフフライなどがある。
[類語]釣り針毛針蚊針擬餌針ルアー

フライ(fry)

肉・魚などの材料に小麦粉・とき卵・パン粉の順につけて衣とし、油で揚げた料理。洋風の揚げ物。「海老えびフライ

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改訂新版 世界大百科事典 「フライ」の意味・わかりやすい解説

フライ
Christopher Fry
生没年:1907-2005

イギリスの劇作家。本名はハリスHarrisで,母方の姓を筆名にしている。教師や俳優を経て劇作家となり,キリスト教の信仰を根底においた,華麗な修辞に富む韻文劇を続々と発表して,T.S.エリオットとともに1950年前後のイギリス詩劇復活運動に大いに貢献した。しかし,劇壇の雰囲気が変わり,現実的な劇が好まれるようになったのに伴って,人気を失った。代表作は,四季にちなむ四部作《その女焚刑に及ばず》(1948初演。以下初演年),《ビーナス観測》(1950),《闇は明るい》(1954),《太陽の庭》(1970)で,いずれもメロドラマ風の物語を哀愁をこめてたどる。ほかには宗教色の濃い《長子》(1948),《車を引く少年》《捕虜たちの眠り》(ともに1950)などがある。J.アヌイJ.ジロードゥーの戯曲の英訳でも大きな成功を収め,また,J.ゲイの《乞食オペラ》の脚色や《聖書》などの映画シナリオも多数発表している。自分の父祖やみずからの少年時代を扱った回想録(1978刊)もある。
執筆者:

フライ
fry

洋風の揚物の料理。ふつう鳥獣肉,魚貝類,野菜などに小麦粉,とき卵,パン粉の順にころもをつけて揚げるものを指し,そのうち肉類を使った場合はカツレツと呼ぶことが多い。広義には,材料にころもをつけずそのまま揚げるフライドポテトのようなもの,小麦粉をまぶして揚げるフライドチキンのようなから揚げ,小麦粉,卵,ビールなどでつくったころもで揚げるフリッターfritter(フランス語でベーニェbeignet)も含まれる。

 フライに用いる油脂はサラダ油が一般的であるが,ラード,ヘット,バターを使うこともある。また,たいていの場合,たっぷりの油を熱した中へ材料を入れて揚げるが,カツレツは材料の厚みの1/2程度まで入れた油でいためるように揚げてもよい。油の適温は160~180℃で,からりとじょうずに揚げるには,材料を一度にたくさん入れず,一定の温度を保たせて行うとよい。
執筆者:

フライ
Herman Northrop Frye
生没年:1912-91

カナダの批評家。1939年からトロント大学ビクトリア・カレッジで英文学の教鞭をとるかたわら,50年から10年間《トロント大学クオータリー》誌でカナダ詩の時評を担当し,カナダ詩の正しい評価と育成に大きく寄与した。一方,W.ブレーク研究(1947)に始まり,シェークスピア,聖書に及ぶ独創的で多彩な評論活動は,そのスケールの大きさと影響力の強さでは他の追随を許さない。著作は,一種の文学形態論をめざした《批評の解剖》(1957)をはじめ,《偉大なるコード》(1982)などきわめて多い。
執筆者:

フライ
Elizabeth Fry
生没年:1780-1845

イギリスの博愛主義者。ノリッジの富裕な商人の娘で,クエーカー教徒。1800年ロンドンの銀行家と結婚,たび重なる出産にもかかわらず,貧民問題に活発な関心を寄せ続けた。13年に初めてニューゲートの女囚を訪問して以来,監獄改善とくに女囚のための奉仕活動を生涯の仕事とした。17年〈ニューゲート女囚矯正協会〉を結成し,女囚に聖書の知識や裁縫を教えた。公的にも流刑廃止や監獄改革を提起し,R.ピールに影響を及ぼした。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フライ」の意味・わかりやすい解説

フライ
Fry, Edwin Maxwell

[生]1899.8.2. チェシャー,ウォラシー
[没]1987.9.3. ダラム,コザーストン
イギリスの近代建築家で国際様式の指導者。リバプール大学で C.レイリーのもとに学ぶ。 1934~36年,W.グロピウスに協力,ケンブリッジシャーのインピントン・ビレッジ・カレッジ (1936) を設計。 1945年以降,ナイジェリア,ガーナなどでの学校建築をはじめ,各種建築を設計。 1951~54年,ル・コルビュジエに協力し,インドのパンジャブ州の州都チャンディーガル建設に,主任建築家として従事した。主著に『乾燥地域と湿潤地域における熱帯建築』 Tropical Architecture in the Dry and Humid Zones (1964) がある。

フライ
Fry, Elizabeth

[生]1780.5.21. ノリッジ
[没]1845.10.12. ラムズゲート
イギリスの慈善家,ヨーロッパの刑務所改善の推進者。イギリスの病院制度や精神障害者の治療の改善にも尽力した。クェーカー教徒の富裕な銀行家の家に生まれた。1800年にロンドンの貿易商人ジョゼフ・フライと結婚。大家族の世話をするとともに,貧者に対する奉仕活動に従事し,1811年クェーカー教徒の「牧師」として認められた。スコットランド,北イングランド,アイルランドならびにヨーロッパ各国を旅行し,各地の刑務所を視察してその報告書をまとめた。ニューゲート刑務所に関する提案には,男女別の収容,量刑による分離,女性受刑者のための女性看守の配置,宗教的あるいは非宗教的な教育の実施,有益な労役などがあった。フライのさまざまな改善提案は,ヨーロッパでしだいに実行に移された。

フライ
Fry, Christopher

[生]1907.12.18. ブリストル
[没]2005.6.30. チチェスター
イギリスの劇作家。教師や俳優を経て,宗教的韻文劇を書いて作家活動に入った。機知に富んだ韻文喜劇『不死鳥はまたも』A Phoenix Too Frequent (1946) によって地位を確立。華麗な韻文劇を次々に発表して,第2次世界大戦後の詩劇復活運動の中心となった。代表作『焚刑を免れた女』 The Lady's Not for Burning (1948) ,『観測されたビーナス』 Venus Observed (1950) ,『闇は明るい』 The Dark is Light Enough (1954) 。『ベン・ハー』 (1959) その他の映画のシナリオも共同で執筆した。

フライ
Frey, Dagobert

[生]1883.4.23. ウィーン
[没]1962.5.13. シュツットガルト
オーストリアの美術史家。ウィーン工科大学で建築を,ウィーン大学で美術史を専攻。 1921年国立美術研究所所長,31~45年ブレスラウ大学教授,52年以後シュツットガルト大学教授。芸術史と精神史との結合を目指すウィーン学派の伝統に立って,比較芸術学の基礎づけに貢献した。主著『近代世界観の根底としてのゴシックとルネサンス』 Gotik und Renaissance als Grundlagen der modernen Weltanschauung (1929) ,『比較芸術学論』 Grundlegung zu einer vergleichenden Kunstwissenschaft (49) 。

フライ
Fry, Roger Eliot

[生]1866.12.14. ロンドン
[没]1934.9.9. ロンドン
イギリスの画家,美術評論家。大学で自然科学を学んだが,絵画制作に移り,1901年以後『アセーニアム』『バーリントン・マガジン』などで正統的芸術論を主張。 06年セザンヌに接して感動し,C.ベルらと後期印象派のイギリスへの紹介に努めた。 05年から 10年までニューヨークのメトロポリタン美術館館長をつとめ,33年ケンブリッジ大学教授。主著『視覚とデザイン』 Vision and Design (1920) ,『セザンヌ』 Cézanne (27) ,『美学の諸問題』 Some Questions in Aesthetics (34) 。

フライ
Frye, Herman Northrop

[生]1912.7.14. ケベック,シャーブルック
[没]1991.1.23. トロント
カナダの批評家。トロント,オックスフォード両大学に学び,トロント大学教授。文学の形態と範疇を追究し,神話を文学の構成原理とする立場から神話批評の確立に大きな貢献をした。主著『批評の解剖』 Anatomy of Criticism (1957) をはじめ,シェークスピアに関する『自然のだまし絵』A Natural Perspective (65) ,『時の道化役』 Fools of Time (67) のほか,『批評の道』 The Critical Path (71) ,『偉大な体系』 The Great Code (82) など多数の著書がある。

フライ
Frey, Adolf

[生]1855.2.18. アーラウ近郊キュッティゲン
[没]1920.2.12. チューリヒ
スイスの作家,文学史家。 1898~1910年チューリヒ大学教授。標準ドイツ語とスイス方言による抒情詩,親交のあった G.ケラーや C.F.マイアーの伝記,スイスの歴史を素材とする写実的な小説がある。

フライ
frit; fry

西洋料理の調理法の一つ。魚介類,肉類,野菜,卵などを衣なしで,あるいは各種の衣をつけて揚げる料理法。日本では多くの場合,魚介類に小麦粉,とき卵,パン粉の順に衣をつけて揚げたものをフライといっている。

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百科事典マイペディア 「フライ」の意味・わかりやすい解説

フライ

英国の美術評論家。ロンドン生れ。〈後期印象派展〉をロンドンで主催(1910年,1912年),セザンヌをはじめ近代作家の画業や近代絵画の運動を英国に紹介。芸術作品のもつ自律的性格を重視し,作品に内在する造形性を批評の対象とした。著書に《セザンヌ》(1927年),《イギリス絵画についての考察》(1934年)などがある。

フライ

西洋料理の揚物の総称。魚・肉・野菜等を小麦粉をまぶしたりして揚げるが,一般的なのは英国風のパン粉揚げである。材料を小麦粉,とき卵,パン粉の順につけて揚げる。フレンチフライはから揚げで,ポテトフライ,チキンフライなどがある。また卵白の入った衣で揚げたフリッターなどもある。→カツレツ

フライ

英国の劇作家。悲劇《長子》(1948年)のほか四季にちなむ詩劇四部作《不死鳥はまたも》(1946年),《その女焚刑に及ばず》(1948年),《ビーナス観測》(1950年),《闇は明るい》(1954年)で,戦後イギリス演劇に大きな役割を演じた。アヌイジロドゥーの翻訳もある。

フライ

カナダの批評家。トロント大学で英文学を教える。西欧文学全体に共通するものとして措定された〈原型〉を基盤にして進められる批評は,〈神話批評〉〈原型批評〉ともいわれ,アメリカにおける構造主義の先駆的存在ともみなされている。晩年はカナダを代表する世界的な文化批評家としての栄誉に包まれた。主著に《批評の解剖》(1957年),《同一性の寓話》(1967年)など。

フライ

オーストリアの美術史家。ウィーン生れ。マックス・ドボルジャークの高弟で,1925年―1931年,1945年―1951年ウィーンの美術史研究所所長,1951年以後シュツットガルト工科大学教授を務めた。主著《ゴシックとルネサンス》《比較芸術学基礎論》。

フライ

英国の社会事業家。クエーカー教徒で,女囚矯正協会を組織,女子刑務所の改善に努力した。

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岩石学辞典 「フライ」の解説

フライ

熱帯地方のグライ土(gley soil)で,熱帯性黒色土壌(blck earth)のハイドロモルフィックなものに相当する.一般に黒色,灰色または褐色で,深部では鉄鉱石団塊や石灰質団塊を含んでいる[Robinson : 1936, Ollier : 1969].南アフリカでは低い沼沢地を,米国北部の方言では沼地(marsh)を指す.いずれもvalleyに相当するオランダ語に由来する[ランダムハウス : 1994].

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「フライ」の解説

フライ【fry】

油で揚げた料理。特に、魚介類・肉・野菜などに小麦粉・溶き卵・パン粉を順につけて衣をきせ、油で揚げたもの。衣をつけたものではえび・あじ・牡蠣(かき)・ほたてなどを用いたものが代表的。

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