フュステルドクーランジュ

精選版 日本国語大辞典 の解説

フュステル‐ド‐クーランジュ

(Numa Denis Fustel de Coulanges ヌマ=ドニ━) フランス歴史家資料の文献学的な研究を徹底し、それにより科学的・実証的近代史学を創立した。著書に「古代都市」「古代フランス政治制度史」など。(一八三〇‐八九

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デジタル大辞泉 の解説

フュステル‐ド‐クーランジュ(Numa Denis Fustel de Coulanges)

[1830~1889]フランスの歴史家。徹底した史料の文献学的研究を基礎に実証的な近代史学を創始した。著「古代都市」「古代フランス政治制度史」など。

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改訂新版 世界大百科事典 の解説

フュステル・ド・クーランジュ
Numa-Denis Fustel de Coulanges
生没年:1830-89

19世紀フランスの代表的歴史家。ミシュレ,トックビルと並び称される。エコール・ノルマル・シュペリウール出身。創立まもないアテネのフランス学院に留学した。若き日の著作《古代都市La cité antique》(1864)は,宗教の観点から社会構造を説明する大胆な仮説により大きな反響を呼んだ。その後,古代から中世への移行期の研究へと向かい,大著《旧フランス政治制度史Histoire des institutions politiques de l'ancienne France》6巻(1875-92)を著した。厳密な史料批判に基づく実証史学の方法を確立した記念碑的作品である。フュステルの基本的立場は,中世封建社会は末期ローマ世界の内部より生まれたとし,ゲルマン大移動の及ぼした影響は副次的なものとみなす,ローマ起源説である。ソルボンヌの中世史講座教授(1878-88),またその間エコール・ノルマル・シュペリウールの校長も務め(1880-83),若い世代への影響が大きかった。
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世界大百科事典(旧版)内のフュステルドクーランジュの言及

【家族】より

…しかしその後の人類学者の研究の結果,彼の学説には否定的見解が多く出されている。 家族についての先駆的研究としては,これ以前に代表的なものとしてバッハオーフェン《母権論》,H.J.S.メーン《古代法》(ともに1861),フュステル・ド・クーランジュ《古代都市》(1864)が挙げられよう。《母権論》は,原初的雑交Hetärismus期に次いで母権制あるいは女人政治制Gynaikokratieを想定し,父権制に先行するものとした。…

【宗教社会学】より

… 宗教社会学に先駆をなしたのは,宗教の役割は時代を超越した永続性をもつものではないことを指摘したA.コントと,宗教の成立と発展は生産力と生産関係の弁証法的関係に規制されていることを説いたK.マルクスである。しかし,宗教社会学固有の立場を確立したのは,宗教が本質的に社会的性格に規制されていることを,ヨーロッパ精神の基礎をなした地域(古代ギリシア・ローマとイスラエル)を対象に,資料によって示したN.D.フュステル・ド・クーランジュとスミスWilliam R.Smithである。スミスはアラビア調査旅行の体験を踏まえて聖書文献学を行った(《セム族の宗教》1889)。…

※「フュステルドクーランジュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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