フタバサウルス(読み)ふたばさうるす(英語表記)futabasaur

デジタル大辞泉 「フタバサウルス」の意味・読み・例文・類語

フタバサウルス(〈ラテン〉Futabasaurus)

フタバスズキリュウ学名

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フタバサウルス」の意味・わかりやすい解説

フタバサウルス
ふたばさうるす
futabasaur
[学] Futabasaurus suzukii

福島県いわき市大久(おおひさ)町板木沢(いたきざわ)の川岸から発掘された海生爬虫(はちゅう)類で、中生代白亜紀後期、8500万年前の首長竜。発見された地層名の双葉層群と、発見者の鈴木直(ただし)(1951― )の名をとって、長谷川善和(よしかず)(1930― )、小畠郁生(おばたいくお)(1929― )により、和名をフタバスズキリュウ(双葉鈴木竜)と命名された。頭骨・後肢骨・椎骨(ついこつ)・肋骨(ろっこつ)・骨盤などが1968年(昭和43)から1969年にかけて、背骨・前肢骨・胸骨・肋骨などが1970年に発掘されて、原形がほぼ完全な形で復原された。東京都上野の国立科学博物館といわき市石炭・化石館とに組立て骨格レプリカ(模造品)が展示されている。骨に食い入ったサメの歯が発見され、首長竜とサメとが格闘したか、あるいは死体にサメがかみついたかの可能性も考えられる。その後、2006年(平成18)に佐藤たまき、長谷川善和、真鍋真(まなべまこと)(1959― )がイギリス古生物学会誌に記載発表し、学名が有効となった。主要な特徴は、(1)目と外鼻孔がわりと離れている、(2)上腕骨が大腿骨(だいたいこつ)に比しとくに長く頑丈、(3)鎖骨間鎖骨癒合体形状が独特、(4)同時代のエラスモサウルス類にしては橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃくこつ)や脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)が比較的長い、などである。推定全長は6~9メートル。化石として保存されていたのは骨格のうち約70%。系統進化や古生物地理の資料として重要である。

[小畠郁生]

『小畠郁生著『恐竜の足跡』(1986・新潮選書)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フタバサウルス」の意味・わかりやすい解説

フタバサウルス
Futabasaurus suzukii; futabasaur

海生爬虫類長頸竜類(首長竜)の一種。頭が小さく,首が長い。目と外鼻孔が離れている,上腕骨が大腿骨に比べて長く頑丈,などの特徴をもつ。推定全長 6~9m。1968年,福島県いわき市白亜紀後期の地層から,地元の高校生が発見した。1970年11月から発掘調査が開始され,頭骨,前後肢骨,胸骨,肋骨,骨盤,椎骨などほぼ 1個体分の骨化石(→化石)が採集された。腰から両鰭を広げたときの横幅 3m,体長約 7mの骨格が復元され,組立骨格の模型が,東京都台東区の国立科学博物館ならびにいわき市石炭・化石館に展示されている。フタバサウルスと同時代で,環太平洋地域から産する化石はほとんど確認されていないので,当時の古地理や首長竜の進化や分布を論じる際の貴重な資料となっている。サメ(→サメ類)の歯が 2個刺さった状態で化石化していること,骨格化石に接近して数十個のサメの歯が集中して発見されたことなどから,サメと格闘した,または死後サメに食い散らされたと推定される。また食べた物の消化を助けるための胃石が多数発見された。和名は産出地層名の双葉層群と発見者の鈴木直の名をとってフタバスズキリュウ(双葉鈴木竜)と名づけられた。2006年イギリス古生物学会誌に記載され,新種として学名 Futabasaurus suzukii が有効となった。

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